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コラム:夢を見る力
 スポーツ千夜一夜

1989年のウィンブルドン選手権で、伊達公子はガリソン(米)にストレート負けした(1989/06/28)【AFP=時事】

 日焼けした元気のいい女の子だった。周囲の風景などはもう忘れてしまったが、そのときのやりとりは記憶に残っている。

 「卒業したらどうするの?」
 「プロになります」
 「自信は?」
 「はい、あります」

 1988年夏。兵庫で行われた高校総体のテニスで、園田学園高のエース、伊達公子はシングルスとダブルス、団体戦の3冠を達成。試合後のコート脇で、プロになると宣言した。洋洋と開けた未来に今にも走りだしそうな笑顔が印象的だった。隣にいたチームメートに「伊達さんは、どんな人?」と聞いたら、笑いながら「すっごく気が強いです」と答えた。

 当時の日本女子の第一人者は井上悦子だが、世界ランキングは26位が最高。まだ日本選手が世界のトップに肩を並べるムードはなかった時代で、わたしは正直なところ、そのときの伊達を元気のいい高校生ぐらいに思っていた。数年後に世界の4位まで駆け上がるとは想像しなかった。

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