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コラム:長距離砲の晩夏
 スポーツ千夜一夜

オールスター戦選出が決まり、笑顔でガッツポーズするソフトバンクの(前列左から)摂津正投手、長谷川勇也外野手、(後列同)小久保裕紀内野手、川崎宗則内野手、松中信彦外野手(ヤフードーム)【時事通信社】

 今年出席した記者会見の中で、プロ野球ソフトバンク・ホークスの小久保裕紀内野手が話したことが印象に残っている。7月のオールスターゲーム(札幌、広島)に出場が決まった際、プロ生活16年目の彼はこんな話をしていた。
 「オールスターも出場12回目で、あまりときめきはないけれど…」
 こうした記者会見では、選手がスポンサーなどに配慮して景気のいい言葉を並べるのが一般的。つまり小久保はいきなり通例からはみ出したわけだが、その後の言葉に彼の心情が表れていた。
 14年前、オールスターに初出場した広島市民球場での試合を思い出しながら続けた言葉だ。  「あのときはドキドキして、ベンチのどこに座ったらいいんやろ、と戸惑った。(今回初出場となったソフトバンクの)摂津と長谷川が、ときめきを味わえるのがうらやましい」
 「初めて出た広島でホームランを打ったことは忘れられない。また今年も広島なので、1本打てたらいいなと思う」
 初出場したときの興奮から追憶は始まり、行き着くのは、そこで打ったホームラン。すべてが新鮮だった遠い日を、37歳の長距離砲は懐かしむように話していた。

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