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コラム:頑固な石川を見た
 スポーツ千夜一夜

ABCゴルフ最終日・石川のガッツポーズ。プロ転向後ツアー初優勝を決め、ガッツポーズする石川遼(兵庫・ABC・GC)2008年11月02日【時事通信社】

 男子ゴルフの石川遼は、今年1月に16歳でプロ転向した。「時期尚早」「学業との両立は」「もっとアマで実績を」。期待と同時にこんな「声」もあった。実は私も、プロ転向の際に「行く手は平坦ではない、今度はお客さんからライバル」とやや否定的な記事を書いた。高校生にとって、プロの世界はそんなに甘くないだろう、と思ったからだ。だが、見方は変わった。いや、変えざるを得なくなってきた。

 マイナビABC(兵庫)で勝ったから、だけではない。弊社の取材体制は地域性もあって関西地区の大会は主に大阪支社、九州なら福岡。したがってマイナビも、その前の2位になった日本オープン(福岡)も見てはいない。11月に入って予選落ちしたレクサス選手権、VISA太平洋マスターズと2試合続けて取材した結果だ。

 石川の魅力は常にイーグル、バーディーに挑戦していく「攻撃ゴルフ」。そして、ファンに対する時の柔らかさや、ファッションも含めた「容姿」だろう。ファッションを見る目に関しては自慢できない。だが、「アスリート」を見る目にはちょっぴり自負するところがある。

 予選落ちに、初日首位スタートで5位。内容は対照的だったが、共通していたのが、結果とは別にショット、パットでの迷いのなさだった。プロでも状況次第では、「どのクラブにしようか、どういう球を打とうか」と考える。相手のある野球やサッカーなら「とっさの判断」とか、「何も考えずに」でOKのケースもある。が、ゴルフは用意周到にショット、パットに臨まなければ結果には結びつかない。

 ドライバーをバッグから抜き、刻み倒して日本オープンで永久シードを獲得した片山に象徴されるように先輩たちは多彩だ。若い故の吸収力の早さも手伝ってか、その中でもまれているうちに、自分の今のゴルフスタイルに、しっかりとした手応えをつかんだのだと思う。

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