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知って防ごう熱中症~夏のスポーツを楽しむために

熱中症は総称、熱射病が危険

 夏はスポーツが盛んな季節。一方で、学校の部活動や地域のスポーツ活動などで熱中症を起こす子どもが増加傾向にある。最近では年に4000件を超え、死亡事故が毎年のように発生している。猛暑が続く近年、熱中症への意識が高まっていることは確かだ。しかし、教師や指導者、子どもたちに予防の知識が十分に普及しているのだろうか。スポーツを楽しむ子どもたちを熱中症から守るにはどうしたらいいのか。
 スポーツ活動中の熱中症予防の普及・啓発に長年取り組んでいる日本体育協会スポーツ科学研究室長の伊藤静夫氏に聞いた。

―スポーツ活動中に問題になる熱中症とは?

 熱中症とは、激しく暑い環境の下で起こる障害の総称です。熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病などに分けられますが、このうち熱射病は最も重い症状です。前の三つまでは体温調節機能がそれなりに働いていて、続けて無理はさせずに休息を取れば回復に向かいます。熱射病だけは、その調節機能が破たんしてしまった状態ですから、極論すると、放っておけば死んでしまう恐れがあります。

―休息だけでは回復しないのですか?

 運動などで体温が上昇すると、自律神経が働き、運動の強さに応じて一定の体温を保とうとするのが通常です。熱射病の段階になると、そのコントロールが利かなくなる。熱でダメになるわけです。「様子を見よう」と休ませておくのは、よくありません。体がオーバーヒートしている状態なので、とにかく体を直接冷やすことが重要です。予防の知識はもちろんですが、救急時の対応を身に付けておくべきです。

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