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W杯に「点の取り方」は見えたか 日本女子バレー

石井にリーダーの自覚

 9月に行われたバレーボールのワールドカップ(W杯)女子の日本は、6勝5敗の12チーム中5位で大会を終えた。序盤から苦しい戦いが続き、過去最低を下回る8位すらちらついたが、最後の大阪ラウンド3連戦で3連勝。中田久美監督が課題としてきた「点の取り方」がようやく好転し、各選手が持ち味を発揮した。エース石井優希(久光製薬)が成長し、19歳の石川真佑(東レ)が加わったアウトサイドヒッター陣を中心に、東京五輪の可能性を探る。

 大会を通じて、攻撃の軸になったのは石井だった。11試合中10試合に先発し、チームトップの170得点をマーク。全選手の中でも6位に入った。大会序盤はセッター佐藤美弥(日立)との息がなかなか合わず、お互いに苦悩していたが、大阪ラウンド初戦のセルビア戦が転機になった。

 「しっかり1本目の間(ま)をつくって、トスも時間をしっかりもらってブロックが見えるようになったので、ブロックアウトとか脇を抜いて打てるようになった」

 チームとして1本目のレシーブを高めに上げて間を持たせるよう修正したことで、石井も気持ち良くスパイクを決め続けた。

 相手ブロックが間に合わないほどの低くて速いトスも打てるが、少しでもトスとのタイミングが狂うとミスのリスクが増す。多少はトスに高さのあった方が相手ブロックを見る余裕もでき、空いているコースに打ったり、ブロックアウトを狙ったりと工夫もできる。終盤には内側に切れ込んでのスパイクで相手ブロックを惑わすなど、攻撃の引き出しも増えてきた。

 こつこつ鍛えてきた守備力も魅力のオールラウンダー。本人も「ディフェンスは自分でも強みに感じていて、どのサイドのスパイカーにも負けたくない」との自負があり、正確なレシーブでもチームを支えた。石井の守備を参考にしているという黒後愛(東レ)は「ポジショニングが全然違う。打ったところにいる。打たれる前の準備が早い」と舌を巻く。

 中田監督の信頼も厚く、今大会ではエースとしての自覚が大きく芽生えた。「エースとしてもっとボールを持っていきたいと思われる選手にならないといけないので、まだまだだと思う。今大会は今までに比べて自分自身がかなり成長できてタフに戦えたし、負けて心も折れかけたけど、個人としては成長できたシーズンだった」と振り返る。

 所属先の久光製薬では今季から主将を務める。それも東京五輪を見据え、リーダーとしての経験を積むためだ。「東京への思いが強いからこそ成長していかないといけない。エースとして代表で生きていくために、チームの核をやりたい」。五輪を控えて来年1月に全日程を終える短期決戦となる今季のVリーグでは、3連覇を狙う強豪を引っ張る。

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