女子バレーボール「中田全日本」の2年目が終わった。2018年シーズン最後の国際試合だった世界選手権(9月29日〜10月20日、横浜ほか)は6位。優勝したセルビアなど強豪と戦った12試合は、東京五輪でメダルを目指す日本の「現在地」をはっきり示した。
1次リーグ第2戦でオランダに敗れ、上位6チームによる3次リーグ進出に黄信号がともった状況から、2次リーグでセルビアを破って勝ち残った。目標のメダルは逃し、5位決定戦も米国に敗れたが、中田久美監督は「アジア競技大会で負けて(4位)、そこから持ち直して頑張ってくれた」「今持っている力は発揮できた」と選手をねぎらった。
ただ「発揮できても6位なので」とも。7勝5敗のうち、世界ランク8位以内の5チームとは6試合して1勝5敗だった。セルビア戦の1勝は、すでに3次リーグ進出を決めていた相手がボシュコビッチらを下げてから3セットを奪ったもので、3次リーグでは完敗した。オランダ、ブラジル、イタリア、米国に敗れ、中国、ロシアとも対戦していれば厳しい戦いになっただろう。
中田監督は東京五輪に向けた強化の進捗率を「今回、メダルが取れれば70%まで行くのではと思ったのですが、58%ぐらい」と表現した。採点を聞かれて戸惑う監督が多い中で、「58%」とは言い得て妙の評価だった。
両サイドのアタッカーには収穫があった。古賀紗理那(NEC)が大会を通して成長の跡を見せ、長岡望悠(久光製薬)は膝の大けがから復調のめどが立った。新鍋理沙(久光製薬)の安定感も再確認できた。20歳の黒後愛(東レ)は、強豪相手になると力不足や守備の課題が見えたが、将来性は確信させた。
中田監督は「(サーブ、ブロック、レシーブを連動させる)トータルディフェンスが機能したときはそう簡単には負けない。サーブレシーブがきっちり返れば、ある程度互角な戦いができるという再認識ができた」と話す。サーブにも進境が感じられ、例えばブラジル戦の第1セットを荒木絵里香(トヨタ車体)のサーブで逆転した。空中戦を武器とする強豪を、日本のバレーに引きずり込める感触は得られて、「世界と戦うことに関しての違和感は徐々に薄れてきている」という。
新着
会員限定