2011年、日本にスキーが伝来してから100年の節目を迎えた。バブル崩壊とともに弾け散ったかに見えるスキーブームだが、現状はどうなっているのだろう。当世スキー事情を探りつつ、スキー渡来の物語を振り返ろう。
(時事通信社・新井佳文、新潟支局・関口和久)
まずはスキー場の今を知ろうと、国内トップ級の集客力を誇る苗場スキー場(新潟県南魚沼郡湯沢町)へ行ってみた。記者が苗場へ足を運んだのは、まさにバブル期(1980年代後半から90年代初頭)以来だ。
当時はリフトの1時間待ちは当たり前で、苗場プリンスホテルは予約さえ難しい、高根の花だった。スキーブームの火付け役となったのは、1987年公開の映画「私をスキーに連れてって」だ。ゲレンデには、ユーミン(松任谷由実)の「恋人がサンタクロース」「サーフ天国、スキー天国」がよく似合った。
そして今回。リフト待ちの時間は、1月の週末にかかわらず、何と「0分」。BGMに流れていたのはユーミンでなく、奇抜なファッションが話題を呼ぶ米国の歌手レディー・ガガの「バッド・ロマンス」だった。ゲレンデは当時、芋を洗うような混雑ぶりだったが、今は広々とした白銀の斜面にゆったりとシュプールが描かれている。経営が心配になるが、スキーヤーとしては実に快適だ。
日本のスキー人口は1993年に1860万人のピークに達し(『レジャー白書』より)、その後は若者のスキー離れやバブル崩壊、レジャー多様化もあり、3分の1程度まで減少した。スキー場の淘汰も進行中だ。
ただ見方を変えれば、バブル当時のスキーが狂乱状態にあっただけで、今は「大人のレジャー」に進化したのかもしれない。
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