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小規模保育、知ってますか?

待機児童対策の切り札

 「保育所落ちた」ブログや、首都圏各地で起きている保育所建設の中断・中止。政府の子育て支援の掛け声とは裏腹に、育児環境の厳しさは一向に改善する気配がない。そうした中、待機児童対策の切り札になるとみられている小規模保育、家庭的保育とはどのようなものか。2015年度の子ども・子育て支援新制度スタートから1年、現場を訪ねてみた。【時事通信社編集委員 三浦直美】

 小規模保育や家庭的保育は、それまでいわゆる「認可外」だったが、新制度で行政による認可保育施設となった。

 横浜市青葉区の私鉄駅からほど近いマンションに、認可小規模保育園「りとるピッピ」がある。保育園といっても普通のマンションの1階の部屋で、2LDK2区画をつなげ、洗面台を低くしたり、台所に柵を設けたりといったリフォームをしてある。

 定員は0~2歳の12人だが、この日は2人休みのため登園しているのは10人。ちょうど散歩の時間で、小さい子をベビーカーに乗せたり、歩いて行く子は靴を履いたり、準備でにぎやかだ。引率する保育者は5人。通常4人のところ、人手のかかる散歩から昼食までの時間は1人プラスしているという。子どもの数に対して大人がかなり多い印象だ。

 歩き始める前の子はベビーカーに乗り、歩けるようになったばかりの子は、保育者がマンツーマンで手をつないで行く。「本人の歩く力を大事にしている。ここの子たちは歩けるようになるのが早いので、保護者の方がびっくりします」と管理者の磯道静香さん(63)は話す。

 15分ほど歩いて近所の公園に到着。住宅地にありながら、手付かずの自然が残る貴重な場所だ。タンポポの綿毛を飛ばしたり、バッタを探したり、斜面でかけっこをしたり、子どもたちは生き生きと遊んだ。

 散歩先の公園はいくつかあるが、「人工的に作っていないここが一番」と磯道さん。小規模保育園は園庭を持たない分、こうした近所の公園などで外遊びの場所を確保している。連携している「ピッピ保育園」の子どもたちも散歩に訪れ、一緒に遊ぶことがあるという。

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