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「大谷効果」、SNSもチケットも MLB幹部と評論家が称賛

本拠地以外でも高い注目度

 米大リーグで投打の二刀流を実現させたエンゼルスの大谷翔平選手。大リーグに長年携わる専門家は、今季の大谷をどう評価しているのか。大リーグ機構(MLB)シニアバイスプレジデントのジム・スモールさん(60)と「アメリカ野球愛好会」名誉代表で大リーグ評論家の福島良一さん(65)に、活躍の意義や価値、今後の球界に与える影響などを語ってもらった。(時事通信運動部 山下昭人)

◇ ◇ ◇

ジム・スモールさん

 「野球という競技の歴史の中で誰も見たことがないことを、彼は見事にやってのけているわけですよね。本当に信じられないぐらい高いレベル。私たちはファンの皆さんと一緒で、本当にすごいものを見ているという気持ち、特別なものを見せてもらっているという気持ちで見ています」

◇心を踊らせる100マイルと450フィート

 「1イニングの表に100マイル(約161キロ)の速球を投げたかと思えば、裏の攻撃では450フィート(約137メートル)のホームランを打ってみせる。そんなことができる人は他にいなかったわけです。われわれは本当に心を躍らせながら見ています。(公式サイトの)MLB.comでファンにアンケートを取ってみたら、大谷選手が今一番エキサイティングな選手だという回答が返ってきました。グッズ販売サイトでは、大谷選手のユニホームは常に売り上げでトップ10に入っています。台湾のフェイスブックで大谷選手を絡めた投稿をすると、それを見てくれる人の数がほぼ1000%(10倍)、928%も増えたんです。これは彼が載っている投稿とそうでない投稿に明らかな差が表れることの顕著な例です」

 「どの球場でも大谷選手を見たい人たちが非常に増えていることも表れています。(7月の)オールスターゲーム後に各チームがエンゼルスと戦った時の観客動員の増減を見ましたが、エンゼルスが来るとどのチームも今までより10%増加しているのです。ソーシャルメディアで興味を高め、チケット売り上げも上がっている。どちらの部分でも非常に大きなインパクトを与えていることがうかがえると思います」

 「大谷選手がやったのは、野球に対する見方、捉え方(の変化)。なぜ一人の選手が打つことも投げることも両方やっちゃいけないのかを提起させた。いろんな議論が始まったと思うのです。いくつかのチームにとってみれば、考え直すきっかけになっているんじゃないかと思います。誰かが非常に速い球を投げられ、さらに打撃も素晴らしいということなら、なぜ両方を試させないんだというような考え方が、だんだん生まれてきているのではないかと思います」

 ジム・スモールさん 米オハイオ州出身。米大リーグ球団やスポーツ用品大手のナイキで勤務後、大リーグ機構(MLB)入り。2004年にアジア初の大リーグ拠点として東京に設立された日本オフィスで代表を務め、ファン拡大やブランド力の向上に尽力。19年2月にシニアバイスプレジデントに昇格して大リーグの国際戦略を統括する立場になった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)運営に携わり、19年にはロンドンでの公式戦を実現。中国やインド、ドイツなどでの展開も視野に入れている。

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