インタビューに応じる山崎拓自民党元副総裁=都内の事務所【時事通信社】
-対北朝鮮政策をめぐり、内閣官房参与の飯島勲氏の訪朝をどうみるか。
何のために行ったのか意味が分からない。基本的に拉致問題の解決のみを北朝鮮政策としているかのように見える今の安倍政権のセンスは、残念ながら支持できない。北朝鮮の核開発阻止、朝鮮半島の非核化というのは、6カ国協議の共同声明で共通目標となっている。国際社会は足並みをそろえ、北朝鮮の核開発阻止を目指している。米国、韓国、中国、ロシアとは足並みをそろえなければいけない。抜け駆け的に、拉致問題だけを解決すればいいんだというのはどうか。
6カ国協議で共同声明を出した以上、日朝平壌宣言にも書いているように、あくまで包括的処理でいくべきだ。包括的処理でなければ拉致問題も片付かない。包括的処理の場合、北朝鮮への経済協力も入ってくる。北朝鮮がこれを取らなければ、何も解決しない。
飯島氏は、拉致問題解決の3原則を何回も(北朝鮮側に)強調してきたという。彼の使命は拉致問題に限られていたわけだ。(関係国が)足並みをそろえて北朝鮮の核開発を押さえ込もうとしている時に、国際社会に連絡しないで抜け駆け的にこの問題だけをやろうとした、そのセンスを疑う。拉致問題さえ解決すれば、核・ミサイル問題はどうでもいいと国際社会に思われてしまった。北朝鮮は何も言質を与えておらず、今後の(拉致問題解決に)展望があるわけでもない。
-福島第1原発の事故後、自民党は衆院選で「脱原発依存」を公約に掲げ、参院選では原発再稼働の方向に転じたが。
安倍政権の一つの特色だ。「原発ゼロ」「脱原発」という政策を明確に否定している。安全性を確認した上で、原発を維持するという方向性を明確にしている。原発維持の方向性を持っている安倍政権を多くの国民が支持するというのは、その国民が「脱原発」や「原発ゼロ」という政策を必ずしも支持していないということだ。
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