インタビューに答える大田昌秀元沖縄県知事=2014年11月【時事通信社】
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設が最大の争点の同県知事選は、16日の投開票が迫ってきた。移設を容認する仲井真弘多知事と、反対派の翁長雄志前那覇市長による事実上の一騎打ちの展開だ。1995年の米兵による少女暴行事件を受けて普天間返還を提起した大田昌秀元知事は、県知事の資質を「日米両政府とけんかができる強い態度を取れること」と語る。知事選の意義や移設問題の見通しを聞いた。
-今回の沖縄知事選の意義は。
沖縄の将来を考えるとき、基地問題は避けて通れない非常に重要な問題だ。日本政府も米政府も、沖縄の基地を恒久化しようという発想が強い。基地問題の解決には日米両政府とけんかができる、強い態度を取れる知事が誕生しないとどうしようもない。政府の言うことをそのまま聞くだけなら、沖縄の基地の恒久化は避けられない。
今、憲法を変えようという動きがある。憲法を変えられたら、一番悪い影響を受けるのは基地のある沖縄だ。沖縄は(1972年の)復帰まで憲法が適用されなかった。大日本帝国憲法ができたときも、今の憲法ができたときも、沖縄の代表は国会に出ていない。沖縄ほど憲法と縁のないところもないが、沖縄ほど憲法を大事にするところはない。憲法を大事にする知事が当選しないと、ひどいことになる。
一地方自治体の長を選ぶというより、日米安保条約の問題が絡んでくる。この間、在日米大使館の幹部に「(移設を)強行したら沖縄で血を見る騒ぎが起こりかねない。皆さんが一番大事にしている日米安保体制が崩れますよ」と伝えた。
辺野古に基地を移したら、今の普天間の年間維持費は280万ドルだが、これが一挙に70倍くらいに跳ね上がって2億ドルになる。これを日本の税金で持つ。沖縄で80%以上が辺野古(移設)に反対しているが、世論調査で、本土では過半数が賛成している。中身を知らず、自分たちは関係ないと思っているから賛成できるが、これだけの財政負担が覆いかぶさってくると、それこそ大変なことになる。(続く)
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