インタビューに答える森本敏元防衛相=2014年11月7日、東京都内【時事通信社】
2014年11月16日に投開票される沖縄県知事選は、政府が進める米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非が最大の争点となっている。野田前民主党政権で移設の推進役を担った森本敏元防衛相に、知事選の意義や移設問題の見通しなどを聞いた。
-普天間問題は、今回の選挙でどういう意味を持つか。
辺野古移設に賛成か反対かという論戦で選挙が行われた知事選は、今回が初めてではないか。4人の候補者の立場は一致するところもあるが、工事に事実上賛成か反対か、県民の目から見ると分かりやすい選挙だ。一方、政府は選挙結果がどうであれ、工事計画を予定通り進めると言っている。政府にとっては賛成か反対かは問われるべき問題ではないということだろう。
-移設反対候補が勝った場合は、普天間問題はどうなるか。
結果を推測してコメントをすることは控えたいが、移設工事に反対する候補の誰かが当選した場合、いろいろなシナリオが考えられる。国が既に合法的に進めている工事計画を、地方の首長が選挙で約束したからという理由で、撤回もしくは取り消しができるのかという問題が第一にある。他方、工事計画に基本的な瑕疵(かし)があり、計画を一部修正、変更しなければならない場合、県知事が工事計画の修正案を許可しないこともある。それが工事の進捗(しんちょく)を阻害することになるのかどうかという問題が残る。
-日米関係にとって与える影響は。
日米関係からみると、いくつもシナリオがあるわけでなく、今年行われた日米首脳会談の共同声明にもあるように、日米間で普天間の代替施設の建設は確実に進めていこうと約束しているわけだから、約束通り実行する責任を日本は負っている。日本側の理由で工事が滞ったり、大きな変更を行ったりすることは、日米同盟の信頼感を著しく損なうことになる。(続く)
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