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自民・小池百合子元防衛相インタビュー
 政界インタビュー

メディアは「イスラム国」に利用された

シリア難民支援議員連盟の会合であいさつする同議連会長の小池百合子元防衛相(左)=2015年2月10日、東京・永田町の衆院第一議員会館【時事通信社】

 過激派組織「イスラム国」による一連の日本人人質事件を日本のメディアはどう報じたか。中東情勢に詳しい自民党の小池百合子元防衛相は一過性の大量報道を批判。結果として、メディアが「イスラム国」のプロパガンダに利用されたのではないかと指摘した。発言要旨は次の通り。

 -「イスラム国」の人質殺害事件について中東の専門家としてどうみましたか。

 怒涛(どとう)のような中東・アラブ報道ですね。これまでも何度か中東報道の波が来ましたが、問題はすぐにパタッと消えること。報道は一過性で、やがてまたテレビはお笑い番組に戻る。平和ですね。

 私は「イスラム国」という言い方はしません。「IS」とか「ISIL(アイシル)」と呼んでいます。「the Islamic State of Iraq and the Levant」の頭文字です。世界の多くの国やメディアは国家と認めていないからです。キャスター時代、北朝鮮を「朝鮮民主主義人民共和国」と伝えることに違和感を抱いたのも同じです。英語メディアではDPRKとあえて略称を使っていたのに。

 いまだにISを「国」と呼んでいるのはBBCと日本ぐらいでしょうか。恐ろしい写真、動画をそのままではないにしても、こんなに頻繁に流す国は日本以外に知りません。

 どの国も、彼らのプロパガンダに乗せられてはいけないという抑制が効いています。だから何度も何度も同じ写真、動画を使う日本のメディアに私は非常に批判的です。

 (注=毎日新聞は「イスラム過激派組織『イスラム国(IS=Islamic State)』」と表記し、2回目以降は「IS」と表記。NHKは2月13日から「過激派組織IS=イスラミックステート」と呼称を変更した。朝日新聞は同24日付以降、「過激派組織『イスラム国』(IS)」などと表記し、2回目以降「IS」としている=3月2日現在)(続く)

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