インタビューに応じる古賀茂明氏【時事通信社】
-元首相2人が脱原発を訴えたのも前代未聞だった。
共産党、社民党のような左翼系の政党ではなく、主流を歩んできた2人の保守政治家が、日本人の新しい生き方を提示して問い掛けたという意味で、今回は初めての試みだった。だから、1回で成功するはずもないが、その割には大きなインパクトがあった。
ただ、過大評価もよくない。小泉さんさえ連れてくれば何とかなるという甘さがあった。次のステップを考えるときは、小泉頼みはやめた方がいい。最初に脱原発への国民の理解を深めていく運動があって、機運を盛り上げた上で、最後の一押しの部分を小泉さんや細川さんに手伝ってもらうという風にしないといけない。
-細川、小泉両氏は今後どう動くのか。
細川さんは、日本を変えるための人材探しだと思う。原発推進、武器輸出のタカ派的で古い成長戦略の安倍政権ではなく、新しい成長の形をつくり、近隣諸国と仲良くする日本像を持ったリーダー、政治勢力をつくっていこうとしている。
小泉さんは細川さんとはちょっと違っていて、脱原発のウエートが非常に高い。今後も全国の知事選で脱原発候補をどんどん応援すると言う人もいるが、そんなに単純な話ではない。よほど候補者が信頼できるか、大きな動きになるという確信がない限り、応援に出向くことはないと思う。小泉さんが次に(表に)出るときは絶対に勝たなければいけない。
古賀茂明氏(こが・しげあき)58歳。東京大法卒。通商産業省(現経済産業省)に入省、経済産業政策課長などを務める。国家公務員制度改革推進本部事務局審議官として抜本改革案をまとめ、2009年、経産省大臣官房付に。東京電力福島第1原発事故を受け、東電の破綻処理策を提言。経産省から退職勧告され、2011年9月に辞職。著書に「日本中枢の崩壊」「利権の復活」「原発の倫理学」など。
(聞き手=時事通信編集委員・芳賀隆夫)
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