石破茂・自民党元幹事長=2016年9月撮影【時事通信社】
2月の日米首脳会談で緊密な関係をアピールした安倍晋三首相とトランプ大統領。しかし、日米同盟強化の具体論はこれからだ。安全保障問題に詳しい自民党の石破茂元幹事長に首脳会談や同盟関係についての見解を聞いた。
「尖閣は安保条約対象」確認だけではいけない
─日米首脳会談をどう評価するか。安全保障関係については防衛費増額要求もなく、沖縄県・尖閣諸島が(米国の日本防衛義務を定めた)日米安全保障条約第5条の適用対象と確認され、日本政府関係者はほっとしているようだが。
日米同盟を確固たるものにする認識を共有し、尖閣諸島を日米安保条約第5条の適用対象にすることが文書(共同声明)に明記されたことは意味のあることだったと思う。ただ、日本は米国に要求されて何かを行うということではなく、日本としてはこうする、と主体的に米国に言わなければならないと思っている。
「尖閣は日米安保の対象」と確認されたから「良かった、良かった」だけではいけない。尖閣諸島に中国がやって来たときに、すぐに米軍が駆け付けると思ってはいけない。まずは日本が対処しなければならない。現行憲法の枠内でもできることはたくさんある。日本が自ら主体的に行動しないと、米国の言いなり、トランプ大統領の言われるままになるという恐れはある。
仮に、漁民を装った中国の人民解放軍兵士が尖閣諸島に上陸して五星紅旗を振り、それに海上保安庁と警察が退去命令を出す事態が起きたとしても、当初の「警察権」での対応が、どの時点、どういう状況で「自衛権」に切り替わるか。海保と自衛隊はどのように連携するか。自衛権行使となれば防衛出動を下令することになる。こうした積年の課題に答えを出し、尖閣が安保条約の対象と米側が確認したことの実効性を担保すべきだ。
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