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佐藤優の地政学リスク講座2016

東京五輪に向けたテロ対策

 「イスラム国」の脅威が日増しに現実的となり、テロは遠く離れた中東や欧州のことではなく、日本もまた対象となる可能性が指摘されています。

 国際情勢を分かりやすく、独特の切り口で分析し続ける作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏の最新刊『佐藤優の地政学リスク講座2016 日本でテロが起きる日』を基に、日本に迫り来るテロの危険と、「イスラム国」の狙いについて解説します。

Q 日本でも、フランスで起きたようなテロの可能性があるのですか?

A 11月13日夜(日本時間14日朝)フランス・パリの複数の場所で銃撃や爆発が起きた同時多発テロが発生しました。パリ中心部の劇場や多くの観衆が集まった競技場、レストランなどが標的となりました。テロによる死者は120人超、負傷者は350人以上となる、未曾有の大惨事です。

 この「前例のないテロ」(フランスのオランド大統領)の犯行声明を「イスラム国」が出しており、今後、日本や欧米諸国を中心に、世界中でテロが起きる可能性が高まっています。

 エジプト東部で起きた旅客機の墜落や、バングラデシュ北部で日本人が殺害された事件でも「イスラム国」に関連すると見られる組織の関与が取りざたされています。

 こうした事態が起きたのは、2015年1月7日にフランスで起きた「シャルリー・エブド」襲撃事件が一つの「号砲」で、世界に一つの帝国を作ろうとしている「イスラム国」が西側諸国に対して〝宣戦布告〟をしたと考えられます。

 日本でも、新幹線内でガソリンを浴び、放火した事件がありましたが、そうした単独犯(ローンウルフ)や少数者によるテロは今後、起こっても不思議ではありません。飛行機などでは手荷物検査があり、液体の持ち込みが制限されていますが、新幹線では手荷物検査はなく、ガソリンや灯油などの液体を持ち込むことは比較的容易です。また、手製爆弾の原料となる化学薬品や起爆装置に使う乾電池なども簡単に入手できます。

 インターネットなどで「指令」を受けた、テロを行う意図をもった犯罪者が、長いトンネル内を走行中の新幹線車両のつなぎ目などでガソリンを撒き、気化させた上で、爆発を起こすと脱輪などが起こることが考えられます。そこで対向車両などが入ってきた場合、大きな衝突による惨事になります。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、テロ対策の準備が急がれます。

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