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東日本大震災とがれき処理

岩手で11年分、宮城で19年分

 東日本大震災から1年。津波で破壊された家々や家財道具はがれきと化し、その量は岩手、宮城の両県で2000万トンを超す。岩手県で平年の11年分、宮城県は19年分に相当する膨大な廃棄物をどう処理するか、復興に向けて大きな課題となっている。(時事通信社山形支局長 中川和之)

 環境省によると、2月21日時点で最終処分されたのは全体のわずか5%。阪神淡路大震災と同じく3年間で処理を終了しようという目標の達成に黄信号がともった。

 細野豪志環境相は「仮設の焼却施設を造っても処理しきれず、400万トンは広域処理に頼らざるを得ない」と他の地域に協力を求めるが、各地での受け入れは思うように進まないのが実態だ。

 石巻市だけで685万トン

 大津波は立ち並んでいた家々や工場、ビルを一気に破壊し、見渡す限りがれきの山となった。がれきの除去は被災直後から始まった。埋め尽くしたがれきを除去して道路を確保し、行方不明者の捜索を進める。取り除かれたがれきは徐々に近隣の集積場に移された。

 そして今、岩手県宮古市田老地区はじめ、被災地の多くで建物の基礎部分だけがむき出しになった情景が広がりつつある。同地区にある内陸の壁面には、津波に翻弄された家々がぶつかり、砕け散った痕跡が生々しく残っている。

 集められたがれきの高さは、自然発火しないよう5メートル以下に制限された。しかし、海岸部の渡波や門脇地区が壊滅し、685万トンのがれきが発生した宮城県石巻市では、集積場が足らず20メートルの高さにまで積み上がっている。

 中学生が、隣接する小学校の児童を助けて「釜石の奇跡」と賞賛された岩手県釜石市立釜石東中学校と鵜住居小学校の敷地も、がれきの一次集積場へと様変わりした。海岸部で平地が少ない被災地にとって、集積場の不足は深刻。復旧から復興に移るためには、街の片付けが最優先だが、がれき処理が遅々として進まず、復興を遅らせかねない切迫した状況だ。

 そこで、被災地以外の協力が欠かせないが、受け入れの障害になるのががれきに含まれる放射性物質の問題だ。

 環境省は、福島県内の災害廃棄物は県内処理を原則とし、岩手、宮城両県のがれきを広く受け入れてくれるよう協力を要請する。同省は、この両県への福島第1原発事故の影響は首都圏と変わらないと訴えるが、受け入れ側には慎重論が多く、実現しているのは東京都などごくわずかだ。

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