パラ卓球のジャパンオープン東京大会が8月1~3日、東京都内で行われた。パラ卓球の国際大会が日本で開催されたのは初めてで、来年の東京パラリンピックへのステップにもなる重要な大会。パラ卓球の象徴的存在である別所キミヱ(ドマーニ卓球クラブ)ら多くの日本選手が、世界の強豪と熱戦を繰り広げた。
パラ卓球はクラス1~5(車いす)、クラス6~10(立位)、クラス11(知的障害)に分かれており、各カテゴリーの数字が小さいほど障害が重い。ルールや用具は健常者とほとんど変わらない。
立位のクラスは、さまざまな障害を持つ選手たちが同じ条件で戦うのが特徴だ。健常者ならラケットを持たない腕(フリーハンド)も体のひねりをリードするなどの役割を果たすが、障害があれば、上半身や筋肉の使い方などを工夫して補う。足に障害がある選手は、重心が掛かり過ぎないようなフォームを身につけるなどして競技力を上げていく。
卓球は打球に変化をつけるのに手首の使い方が重要だが、障害で手首が使えない選手は、ラケットを手に固定し、体を目いっぱい使い、腕全体で回転を掛けてコースもコントロールする。障害を感じさせないラリーの応酬もあり、観客を沸かせた。
パラ卓球は、東京パラで陸上、水泳とともに知的障害の部も行われる。技術・戦術の習得や試合中の心理状態のコントロールなど、困難を乗り越えてボールを追う選手たちが、金メダルを目指してやってくる。
東京パラ出場権は来年3月末時点の世界ランクなどで決定。各選手は国際大会に出場してポイントを稼ぐことになり、アジア選手権などの格付けが高い大会を含めて4大会以上に出場する必要がある。このジャパンオープンもポイントを獲得できる大会の一つで、個人戦(シングルス)と2人ないし3人でシングルス、ダブルスを行う団体戦が実施された。
会場でひときわ注目と声援を集めたのが、個人戦女子クラス5(車いす)に出場した71歳の別所だ。2016年リオデジャネイロ・パラリンピック代表で、日本選手団最年長だった大ベテラン。
ジャパンオープンのこのクラスは、4人の総当たり戦で行われた。「孫と対戦しているみたい」だったタイの若手選手をストレートで圧倒するなど2勝したが、格上の韓国選手に敗れて2位だった。早いラリーに対応し切れず、車いすでは打ち返せないネット際にふわりと球を落とす得意技を1本しか決められなかった。
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