初演から四半世紀を迎えた今も世界中で上演されているミュージカル「オペラ座の怪人」。昨年10月にロンドンで行われた「25周年記念公演」の映像が全国の映画館で順次上映され、1月25日にはブルーレイ/DVDもリリースされた。東京・汐留の電通四季劇場「海」で上演中の劇団四季版「オペラ座の怪人」も連日盛況が続いている。人気の理由を歴代の「怪人」たちの声から探ってみた。(取材・構成:文化部 中村正子)
【オペラ座の怪人】
仏作家ガストン・ルルーの怪奇小説を題材にして、現代のモーツァルトと称されるアンドリュー・ロイド・ウェバーが作曲したミュージカル。パリ・オペラ座の地下に住む怪人と、美貌の歌姫クリスティーヌ、その恋人ラウルをめぐる愛と憎しみの物語が甘美でドラマチックな音楽に乗せてつづられる。
プロローグで舞台からゆっくりとつり上げられるシャンデリアが劇中で落下してくるところや、怪人とクリスティーヌを乗せたボートが、無数のキャンドルがゆらめく地下の湖水を進み、怪人の隠れ家へと向かう幻想的な場面など、スペクタクルな演出も見応えがある。
ロンドンのハー・マジェスティーズ劇場では、1986年10月9日に開幕して以来のロングランが続いており、総上演回数は10000回を超えた。88年1月から公演が続く米・ブロードウェーを含め、世界27カ国で上演され、1億3000万人以上が観劇している。
日本では劇団四季が88年4月以来、全国9都市で断続的に上演を重ね、総公演回数は2011年末現在で5636回、総入場者数は574万人に上る。
(あらすじ)
19世紀中頃。オペラ座の地下には天才的な音楽家である「怪人(ファントム)」が隠れ住んでいた。彼は美しい歌声を持つコーラスガールのクリスティーヌを心ひそかに愛し、彼女をプリマドンナに仕立てて自分の音楽を歌わせたいと願う。オペラ座を牛耳るため、支配人らに脅迫状を送り、要求に従わなければ、相手を殺すこともいとわない。
降板したプリマドンナの代役を見事に務めて喝采を浴びたクリスティーヌは、幼なじみのラウルと再会。その一方で、姿を見せずに歌のレッスンをしてくれた「音楽の天使」に音楽家だった亡き父の面影を重ねる。やがて、姿を現した怪人にいざなわれて地底深くの隠れ家に向かう。クリスティーヌは作曲に没頭する怪人の仮面をはぎ取り、その下に隠されていた醜い顔と、美に憧れる孤独な心を知る。
怪人が作曲したオペラ「ドン・ファンの勝利」の初日、怪人はドン・ファン役を殺して入れ替わり、劇中でヒロイン役のクリスティーヌに愛を告白し、地下の隠れ家へさらっていく。怪人は追ってきた恋人ラウルの首に縄を掛け、クリスティーヌに「私と生きるか、それとも彼を死なすか」と選択を迫る。
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