プリンスエドワード島に来て6日目。ついに島を去る日が来てしまった。島と外部を結ぶ交通手段は三つ。飛行機のほかに、陸路を橋で渡る方法と、海路をフェリーで行く方法がある。
島と対岸のニューブランズウィック州を結ぶコンフェデレーション橋(ここにも「コンフェデレーション」!)ができたのは1997年。「島っ子」にとって、本土と地続きになることは100年来の夢だったが、計画が持ち上がると、漁師たちから「橋ができると海の生態系に影響が出て、ロブスターが捕れなくなる」と反対の声が上がった。このため、最後は住民投票で決めることになり、約60%の賛成で橋が架かることになった。
橋の長さは約13キロメートル。本土から12分ほどで島に到着する。乗用車の通行料は44.5カナダドル(約4200円)。これは往復料金で、料金所は島側にしかない。つまり、「島に来た人は必ず島を出るから、料金は島を出るときに払ってもらえばよい」というわけだ。なるほど、これなら料金所のコストも半分で済む。これも「島っ子」ならではの知恵だ。
考えた末、島を出るのはフェリーにした。ノバスコシアの孤児院から船でプリンスエドワード島にやって来たアンが目にしたのと同じ景色を、逆方向だけれど見てみたいと思ったからだ。
午前11時15分発の「ホリデー・アイランド」号に乗り込んだ。夏休みが終わったせいか、乗客は家族連れよりも年配のカップルが多いようだ。船が動き始めると、多くの乗客がデッキで風に当たりながら、別れを惜しむように少し紅葉が始まったプリンスエドワード島の写真を撮っている。よし、今度は春に来よう!
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