そしていざペアリング(お見合い)を行なうという段階でも問題が生じる。パンダ同士の相性だ。パンダはより好みが激しいとされ、メスにとって気に入らないオスは単なる縄張り荒らしと見なされ、攻撃の対象になる。
またメスはその気があるかのようにオスにお尻を向ける仕草を見せるが、いざオスが近づくと威嚇して追い払ったりと一筋縄ではいかない。相性の良さは重要なポイントとなる。
同園での繁殖成功の大きな鍵と言われているのが、同園生まれのパンダ11頭のうち10頭のお父さんである永明(えいめい)だ。6頭の子どもをもうけたメスの梅梅(めいめい)と相性が良かったことはもちろん、4頭の子どもをもうけた良浜(らうひん)に対しても永明なりのアプローチが功を奏したという。
「交尾になると攻撃的にメスに仕掛けるオスもいるのですが、永明はとにかく優しく接するんです」(安田典功飼育員)。永明は自然交尾が出来る、世界でも10本の指に入る繁殖能力にすぐれたオスと言われており、永明のようになパンダをいかに育てるかが課題とされる。
豊かな食環境も影響を与えている。上野動物園では1頭につき1日約1万1000円とも言われている高いエサ代だが、ここ和歌山では近隣の大阪府岸和田市などから里山整備のため伐採した孟宗竹を提供してもらっており、東京より安価に新鮮な竹を手に入れることができる。
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