今年の2月、約3年の空白を経て上野動物園に中国からオスのジャイアントパンダ「リーリー」とメスの「シンシン」がやってきた。2頭の搬送作業は深夜に行われ、その日に行われた記者会見で小宮輝之園長は「上野生まれのパンダを1頭でも多く誕生させ、パンダの絶滅を防ぐ運動に貢献したい」と繁殖に意欲を見せていた。
そんな上野動物園のお手本になりそうな動物園が「和歌山アドベンチャーワールド」(和歌山県白浜町)だ。日本で所有するパンダ11頭のうち8頭を飼育し、昨年8月にも双子の海浜(かいひん)と陽浜(ようひん)の繁殖に成功した。
同園で生まれたパンダはこれで通算12頭目となり、中国本土以外の土地で最多の実績となる。繁殖に成功する秘訣はあるのだろうか。大先輩となる同園に取材に出かけた。
同園のパンダランドは総面積914平方メートルの屋外運動場を持つのが特徴だ。ここでパンダは木に登ったり、滑り台など遊具で遊んだり、のびのびした姿を来園客に見せることができる。耳を澄ますとパンダの鳴き声や息遣いまで聞こえてくるといい、パンダを間近に感じられる。
お目当ての双子のパンダはこのパンダランドを抜けたガラス張りの飼育部屋にいた。フワフワとした毛並みはまさに丸見を帯びたぬいぐるみのようだ。
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