◇パラ「大成功」の入場券販売 2016年リオデジャネイロ
リオデジャネイロ・パラリンピックの競技が始まった2016年9月8日、市西部の五輪公園は大勢の市民でにぎわっていた。どの競技会場でも、ブラジルの国名を連呼したり、国旗を振ったり。障害を物ともせずに躍動する選手たちに、あらん限りの大声援。その熱気は、最終日まで途切れることがなかった。
開幕のわずか3週間前。観戦チケットは販売予定枚数(250万枚)の1割強しか売れず、大会組織委員会は資金不足に陥った。ブラジルではサッカーに人気が集中し、障害者スポーツへの関心はなかなか高まらない。「本当に開催できるのか」。地元メディアからも疑問を呈する声が上がった。
その雰囲気が一変した。窮状を知ったサッカーの人気選手ロナウジーニョが自身のツイッターで大会を宣伝し、一般の市民もパラ選手支援を呼び掛け始めるとブラジル国民は結束し、チケットが急に売れ出した。
大会組織委員会のチケット販売戦略責任者も手応えを感じていた。「車いすテニスや卓球、アーチェリーなどは最低10レアル(約300円)。映画館に行くより安い。ブラジル代表選手は毎日メダルを取るだろう。われわれは上昇曲線に乗って行ける」。五輪最終盤にブラジルのサッカー男子、バレーボール男子が金メダルを獲得。別の広報担当者は「盛り上がる五輪に影響を受けて、たくさんの人がパラのチケットを買うはず」と自信をのぞかせた。
その予想通り、人々は会場に足を運び続けた。終わってみれば、パラ史上2位となる210万枚以上のチケットを販売し、大会は「大成功」で幕を閉じた。その経験をどのように生かし、大会を成功に導くのか。今度は東京が大きな課題を背負う。(2020.5.22)
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