◇フェルプス、最多の8冠 2008年北京
2008年北京五輪は競泳男子のマイケル・フェルプス(米国)が伝説を残した舞台として知られる。出場全8種目で金メダルを獲得し、個人の1大会最多となる8冠を達成。1972年ミュンヘン五輪の競泳男子で7冠に輝いたマーク・スピッツ(米国)を超えた。
決勝を午前に行う変則日程が組まれ、英スピード社製の高速水着「レーザー・レーサー」を着た選手が好記録を量産する中、バタフライ、個人メドレー各2種目に200メートル自由形、リレー3種目で計17レースに出場。9日間スタート台に立ち続け、表彰式後に慌ただしく次の種目に臨む日もあったが、400メートル個人メドレーを手始めに決勝で世界新を連発した。
ヤマ場は7冠目が懸かった100メートルバタフライ。前半50メートルを先頭のカビッチ(セルビア)と0秒62差の7番手で折り返したが、ターン後のドルフィンキックで推進力を得て猛追。ゴール前で一かき加えてタッチ板をたたき、100分の1秒差でカビッチを逆転した。世界記録は逃したものの、好判断で際どい勝負を制した。
400メートルメドレーリレーの第3泳者として米国の優勝に貢献して「スピッツ超え」を果たした。「第2のスピッツではなく、第1のフェルプスを目指してきた。多くの人が8冠は困難だと言ったが、やればできる、不可能なことはないと学んだ」と実感を込めた。
長い腕、大きな足に柔軟性やスタミナを備えた体、ここ一番での集中力も併せ持つ。2000年シドニーから31歳で臨んだ16年リオデジャネイロまで5大会連続で五輪に臨み、手にした金メダル23個、メダル総数28個はともに歴代最多。「水の怪物」はプールで輝きを放ち続けた。(2020.5.14)
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