2016年のプロ野球はセ・リーグで広島が25年ぶりに優勝。パ・リーグは日本ハムが最大11・5ゲーム差をつけられていたソフトバンクを逆転し、3連覇を阻んだ。投打二刀流を大きく開花させた大谷翔平投手の活躍で勢いを得た日本ハムが日本シリーズで広島に競り勝って10年ぶりの日本一に輝き、劇的なシーズンを締めくくった。セ・リーグではDeNAが11年ぶりのAクラス入り。苦闘が目立っていた球団の奮闘で、新たな流れが顕著になったシーズンだった。
年末恒例の「新語・流行語大賞」で、広島の緒方孝市監督が鈴木誠也外野手の活躍を評した「神ってる」が年間大賞に選ばれた。25年ぶりにセ・リーグを制した大躍進は社会現象になった。
黒田博樹投手が米大リーグから復帰した昨季、広島主催試合の来場者は初めて200万人を突破。ただ、今季開幕当初は前売り券の売れ行き状況などから、球団内では同じような動員は難しいとの声もあった。しかし、新井貴浩内野手の通算2000安打や黒田の日米通算200勝、数々の逆転勝ちなど快進撃が続き、昨季を上回る215万7331人を集めた。
「赤い熱気」は敵地でも。優勝間近の広島を神宮に迎えたヤクルトの真中満監督は、「試合後、一塁側のファンにあいさつする時にもスタンドが赤く埋まっていて驚いた」。同球団の営業担当者は「黒田投手が復帰した去年から、また一つ殻を破ったような印象」と話した。
ベースボールマガジン社では、2013年にクライマックスシリーズ初進出記念号を発売した頃から「カープ関連だと手に取ってもらえる」と注目。「週刊ベースボール」担当者によると、今年も新井、鈴木らを表紙にすると売り上げが伸び、優勝直前の広島を特集した別冊、黒田の引退記念号なども出版した。
来年度のファンクラブ入会も狭き門となった。公式戦入場券の先行購入などの特典がある一般会員は、定員を従来の1万8000人から3万人に拡大。11月に球団サイトで新規会員1万3000人を先着順で募集したが、受け付け開始からわずか4時間半で締め切られた。松田元オーナーは「チームも選手個人も去年とは違う姿を見せてくれた。それがみんなを驚かせ、心を動かしたのではないか」と目を細めた。
新着
会員限定