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宮西尚生 中継ぎ一筋300ホールドの「鉄人左腕」

大記録支えたすごみとは

 目の覚めるような快速球や代名詞となる変化球があるわけでもない。それでも長年、プロ野球の第一線で中継ぎ投手として秀逸の成績を残し続けてきた。日本ハムの宮西尚生投手(33)が4月13日、本拠地札幌ドームで行われたロッテ2回戦で球界史上初の通算300ホールドを達成した。

 「ホールド」は中継ぎを評価する指標。チームがリードしていたり同点だったりした場面などで救援し、その状況を保ったまま次の投手に引き継いだ場合に与えられる。試合を締めくくる抑え投手のセーブに比べると地味だが、いぶし銀の輝きを放つ。毎日のようにベンチ入りし、黙々と投げ、コツコツと数字を積み重ねる。文字通りプロフェッショナル、職人芸の色彩が濃い。前人未到の大台に乗せた上、プロ入りして昨季まで11年連続で50試合以上に登板した「鉄人左腕」のすごみに迫った。【時事通信札幌支社 日本ハム担当 藤井隆宏】

◇開幕前は不安も

 300ホールドを記録した直後の囲み取材で、宮西が笑いながら話した。その言葉に、中継ぎの厳しさが表れている。「リリーフがこうやって目立つのは一瞬。次の日にはピンチが訪れる。心の中はうれしくても、外に出さないのが僕のポリシー」

 昨年11月、2015年以来となる左肘の手術を受けた。術後に球団が発表したのは全治3~4カ月。今春のキャンプ期間こそ実戦登板はしなかったが、オープン戦に間に合い、開幕1軍にも当然のように入った。

 だが、開幕前に漏らしていた言葉からは、不安の方が大きいように感じられた。新たに微調整したフォームがしっくりこなくて、投げる球に力が伝わり切っていない。オープン戦での準備不足も感じていた。状態が悪い中でも、試合を左右する場面で起用し続ける栗山英樹監督から信頼を感じることはできる。ただ、「うれしさよりも、プレッシャーが年々増している。内心は結構、焦っている」と打ち明けていた。

 今季初登板は3月30日の開幕2戦目。いきなり試練に直面した。同点の八回に救援して2安打を許す。それでも、何とか無失点でしのいだ。状態は良くなさそうだったが、「あれでワンステップ上がった。一気にゲーム勘を取り戻した」。少し吹っ切れたような笑顔だった。

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