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北朝鮮を旅する(2)

旅のルール

 北朝鮮は、日本とは異なる体制であり、旅する際も異なったルールがあることに留意すべきだ。

 外国人には旅行者であれ、記者であれ、必ず案内人と呼ばれる人が付くのもその一つ。「通訳」兼「ガイド」だが、当然「監視役」の役割もあるのだろう。ホテルから外出する際は案内人と同行するように言われる。記者にとっても自由取材はおろか、街中での単独行動でさえなかなか難しいのが現実だ。

 ホテルの周辺を1人で散歩していたら、いつの間にか後ろにいた案内人に声を掛けられ、驚いたこともあった。外国人は監視対象であり、国交がない日本人ならなおさらだ。案内人は「国民の反日感情が強く危ない」と説明する。案内人と歩いていてさえ、街なかの治安要員らから注意され、深刻なトラブルに巻き込まれるケースもある。

 また、日本語が堪能な案内人らの前では、「北朝鮮」と呼ぶのを控えるのが賢明だ。やんわりと「共和国」や「朝鮮」と呼ぶよう直されるだろう。韓国は「南朝鮮」となる。ちなみに韓国では北朝鮮のことを「北韓(プッカン)」と呼ぶ。

 写真撮影でも特別な注意を要する。かなり自由に撮影させてくれた印象だが、軍人の撮影にはまだまだ敏感だ。空港で撮影した写真をチェックされ、削除されたケースもあった。一般人を撮影していてトラブルになることも。金日成主席や金正日総書記の銅像や肖像の写真を撮る際は、正面から撮るよう「指導」された。若い案内人は、「われわれにとってお父様のような存在。失礼があってはならない」と語っていた。

 日本でもそうだが、どの国でも一定のルールがある。ルールを分かっていれば、あとは人間同士のつきあいだ。食事をしたり、酒を飲んだりして、ある程度仲良くなれば案内人の家族の話になったりもする。タバコを吸う人も多い。日本製のタバコはピースが人気で、外貨ショップなどで売っているのも見掛ける。北朝鮮の人々は、タールが強いタバコが好きなようだ。

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