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アメリカでスターの階段駆け上る大坂なおみ

全米スケール

 圧倒的な実力で先のテニス全豪オープンを制し、四大大会(グランドスラム)通算4勝目を挙げた大坂なおみ。彼女が活動の拠点とするアメリカの記者たちは、実力や個性、社会への影響力などから、テニス界の顔として台頭しつつあると評している。米新聞社でスポーツ記者の経験もある日本人ジャーナリストが、大坂がアメリカでスポーツ界を超えたスターになりえる理由を解説する。(志村朋哉・在米ジャーナリスト)

◇ ◇ ◇

 日本のテレビ番組や記事で、「全米熱狂」「全米で話題」といった見出しを見かけるが、ほとんどの場合、こちらの事情を理解していないか、目を引くための誇大表現だ。

 アメリカの国土は日本の25倍もある。人種や価値観、趣味・嗜好、情報源となるメディアも、日本とは比べ物にならないくらい多様だ。

 そんなアメリカで、全土を熱狂させるのは容易なことではない。道ゆく人の大半が知っていたり、職場や井戸端会議で話題にしたりしているような有名人や事件というのは限られている。

 誰か日本人が「全米で話題」になっていると聞いたら、業界内の専門家やファンの間で騒がれた、テレビやネット記事でちょっと取り上げられた、ツイッターで一時的に拡散した程度と考えた方がいい。

 ここ10年くらいで、本当に「全米で話題」になった日本人は、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんくらいだ。(彼女のドキュメンタリー番組がNetflixで人気を博した時は、街を歩いているだけで、「こんまりの番組見た?私も片付けしないと」などと耳にした。)

 スポーツ界でも、全米で名が知られているのは、バスケットボール(NBA)のレブロン・ジェームズ、ゴルフのタイガー・ウッズ、アメリカンフットボール(NFL)のトム・ブレイディなどのスーパースターに限られる。

 彼らは、圧倒的な実力に加えて、強烈な個性を持ち、各競技のファン以外をも魅了する。強い発言力で、流行や世論に影響を与えることすらある。

 大坂なおみは、そんな彼らと並ぶ存在になる可能性が十分にあるのだ。

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