ユネスコ世界文化遺産への登録が決まった「明治日本の産業革命遺産」。その中で日本一の産炭量を誇り、エネルギー・製鉄燃料の両面で産業近代化を支えたのが、九州中西部の三井三池炭鉱だ。明治から昭和にかけ、人々が黒いダイヤ・石炭に沸いた夢の跡が、今はひっそりとたたずむ。
世界遺産に登録された三池港、日本最古のやぐらが残る宮原坑跡の他、1997年の閉山まで稼働していた三池最後の炭坑・三川坑を福岡県大牟田市に訪ねた。
「現在この施設は一般公開していません」。1908(明治41)年に開港した三池港。干満の差が5メートル以上もある有明海に面し、大型船が出入りできるよう港の水位を保つために造られた「閘門(こうもん)」が今も稼働する。市企画総務部世界遺産登録・文化財室の坂井義哉さんが案内してくれた。
「建造時、英国から輸入した設備を現在も直しながら使っています」。この日、閘門は開いていて、残念ながら水位を保つ部分は水没して見えなかったが、パナマ運河などと同じような構造で、近年まで扉の合わせ目には虫害に強い南米産のグリーンハートという木材を輸入して使っていたという。
現在はゴム製になったが、機械室と管理棟を含め、施設のほとんどは100年前とほとんど変わらない姿をとどめている。
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