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2016年MLB回顧

歩み止めないイチロー

 2016年の米大リーグはカブスが実に108年ぶりにチャンピオンに輝き、話題の多いシーズンとなった。日本勢ではイチロー(マーリンズ)が史上30人目のメジャー3000安打を達成し、1年目の前田健太(ドジャース)をはじめ、岩隈久志(マリナーズ)、田中将大(ヤンキース)ら投手陣が持ち味を発揮した。日本勢の1年を振り返る。

 10月2日のナショナルズ戦。五回に代打で出たイチローは、鋭い右前打を放った。13年連続でプレーオフ進出を逃したマーリンズにとっては消化試合にすぎない今季最終戦だったが、42歳のベテランは「いや、もうそれは出た方がいいでしょ。当たり前ですよ」。最後まで出番と快音を求める姿勢は変わらなかった。

 16年はピート・ローズが持つ大リーグ最多安打記録を日米通算で抜き、史上30人目の3000安打も達成。143試合で95安打、打率2割9分1厘、10盗塁。全盛期には遠く及ばなくとも、ファンの大歓声を浴びた。

 マーリンズは最終戦の3日後、早々とイチローとの契約更新を発表。2018年の契約選択権も盛り込んだ。立場は「第4の外野手」でも、野球に全力で取り組む姿は若手が多いチームの手本であり、財産でもある。ヒル編成本部長は「来年も期待したい。(選手の不慮の死で)中止になった3000安打記念セレモニーもやらなければ」と楽しそうに話す。

 代打に代走、守備固め。不規則な出番に備える日々は「疲れる。でも慣れないとしょうがない」とイチロー。今季は代打でも、ある程度の結果を残したが、まだ工夫の余地はあると感じている。

 17年10月で44歳。いまだ経験のないワールドシリーズ出場はもちろん目標となり、50歳までの現役続行や大リーグ通算4000安打など、はるか先にある目標への可能性を感じる1年にもしたい。ただ、そのために必要なことは誰より知っている。「いつの日か分からないことよりも、あしたの試合に出たいということの方が大事」。そう言い切って、目の前の準備に最善を尽くす。

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