女性の活躍が言われて久しい。女性が働くようになれば、男性も子育てや家事をする必要が出てくるケースもあるだろう。多くの企業は男性社員を長時間労働のできる存在とみなしているのが現状かもしれないが、働き方を見直すなどし、これまでの意識の変革に乗り出す企業も徐々に増えてきた。(時事通信社 菊地えり)
「有給20日間取得、残業は月20時間以内」-。ITサービス会社、SCSKの掲げる目標だ。同社は3年ほど前から約7000人いる社員を対象に、働き方の見直しに力を入れている。
残業を減らすため、忙しい部署の人員を増やしたり、午後5時以降の会議を禁止したりなど全社的に工夫。有給休暇も人繰りに支障が出ないよう、同じ部署のメンバー間で取得計画をあらかじめ共有することにした。1人で1つの業務をするのではなく、2人で2つの業務をシェアするなど休みやすい環境も整えた。
2013年度からは社の掲げた目標を達成できた部門の社員には、減った分の残業手当を原資に翌年の夏のボーナスに最大12万円加算するという仕組みを導入。こうした取り組みで、11年度に30時間近くあった月の平均残業時間は14年度には18時間にまで減った。
有給休暇の取得も11年度の13日から14年度には19日と増えた。この間、業績は増収増益を続けている。
以前は長い時間働くのが当たり前の会社だった。だが、当時の社長である中井戸信英氏(現会長)が「ITは知的産業のはず。疲れ切った頭では新しい技術やサービスを創造することは到底できない」との考えから、トップ主導で働き方の改革を断行した。
社員の働きやすさは格段にアップした。以前は7割程度あった女性の離職率は3割に低下。男性社員も家庭で過ごす時間が取りやすくなった。
SCSK技術開発部で働く岩本健さん(33)はほぼ毎日、午後5時半の定時で仕事を終える。夜は3人の子どもたちの入浴と寝かし付けが日課だ。
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