本当は山荘に2泊したかったのだが、今回の旅では最高値の1泊1万円近い宿泊費がネックになって、涙をのんで1泊だけにした。
この山荘は「八仙山麓の佳保台は台湾八景の一つに数えられている」と紹介されている佳保台にある。台湾八景である。台湾を代表する八景の一つなのだ。ここで大々的に宣伝して、日本人客が殺到して、宿泊料金が上がり、昆虫記者が二度と泊まれないようになるのは困るが、昆虫記者が宣伝してもその影響力は微々たるものなので、大勢に影響はないだろう。それならば、この山荘のすばらしさを、大いに強調したい。
山登りの好きな人は、ここから標高2366メートルの八仙山の頂上まで登ることもできる。「体力に自信があれば、八仙山山頂を目指すのもいい」と何かに書いてあったが、もちろん昆虫記者はそのようなまねはしない。片道6キロの山道を踏破して登頂を果たす体力がないことは、火を見るよりも明らかなのだ。
2人分出されそうになった朝食を、遠慮して1人分だけにして、食事時間を節約してまでしつこく虫を探している間に、無情にも帰りのバスの時間が迫ってきた。
そこで「最後に八仙山荘のテラス席で記念写真を撮ろう」と思い立った。山荘2階部分のテラス席は、山々を背景にパラソルの下でティータイムを楽しめるという、昆虫記者には似合わない最高におしゃれなロケーションだ。
最後の記念写真は、自撮りしようと思えばできたのだが、せっかくなら、いろいろとお世話になったフロント係のお嬢さんに撮ってもらいたいと考えたのは極めて自然な展開である。
声を掛けると、二つ返事でOK。なんと優しいのだ。こんなむさくるしい昆虫記者を邪魔者扱いすることもなく、誠実な態度で接してくれたのはホテル従業員のかがみだ。
調子に乗って、ついでにお嬢さんにもテラス席にすわってもらって、彼女の写真も撮る。何と素直で、いい子なのだろう。妻には内緒の旅の思い出である。後ろめたいからこそ、深く心に残る思い出だ。
ここで一つ秘伝を伝授しよう。最初から「お嬢さんの写真を撮ってもいいですか」などと尋ねると断られる確率が高くなる。まずは自分の写真を撮ってもらって、あくまでもそのついでという感じにすると、警戒感が薄れてうまくいくことが多い。これもまた、長年の虫撮り旅行で学んだ大切なテクニックである。
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