虹色のクワガタとの遭遇 豪キュランダの旅2
 昆虫記者のなるほど探訪

決め手はゴキブリ博士

 キュランダ村は、海浜リゾートとして名高いケアンズからの日帰り観光地である。観光客向けの「キュランダ高原列車」の帰りの最終便は、午後3時半発だ。だから3時を過ぎると村の人口はグッと減る。ロープウエーも3時半ぐらいで切符の販売が停止され、5時すぎに運行が終わる。ヘリテージ・マーケット、オリジナル・マーケットなど観光客相手の商店街は、3時になるとシャッターを下ろし始める。4時ともなると、もはや開いている店はほとんどない。村は死んだように静かになる。まさにゴーストタウンの様相だ。(時事通信社・天野和利)

 大手旅行サイトで予約できる宿は、村の中には一つもなかった。つまり宿泊する観光客は、限りなくゼロに近い。日帰り観光地の宿命である。だが、虫撮りは常に2部構成である。昼間の部があれば、夜の部もある。夜の部のためには、何としてもキュランダに泊まらなければならない。タマムシ色に輝くニジイロクワガタなんかに出会うチャンスは夜しかないのである。

 ようやく探し当てて予約した宿は、村の中心部から1キロほど離れた森の中のキュランダ・レインフォレスト・アコモデーション・パーク。基本的にはキャンプ場だが、幾つかロッジもある。周辺には散策コースもあるし、ナイトウオークもアレンジできるし、虫探しの宿としては絶好の条件だ。

 ここのパックパッカー用宿泊施設は、シングルで35豪ドル(1豪ドルは約85円)と、ともかく安い。ライトトラップ(灯火で虫を呼び寄せる仕掛け)が設置できそうなベランダのあるロッジは1泊100豪ドル。これでも、日本の基準からすれば、まずまず安い。

 そして、絶対的な決め手となったのは「Dr.Dave」の存在だ。ナイトウオークの案内役が「Dr.Dave」となっていることを昆虫記者は見逃さなかった。もしかして、昆虫記者の友人で昆虫文学少女として知られる新井麻由子ちゃんが親しみを込めて「ゴキブリ博士」と呼んでいたデービッド・レンツ博士ではないのか。

 麻由子ちゃんが3年前にオーストラリアに遠征した際、キュランダで知り合ったのがデービッド。ゴキブリを熱愛する異色のエントモロジスト(昆虫学者)だ。

 宿に着いて真っ先に確認してみた。すると、やはりDr.Daveはデービッド・レンツ博士だという。オーストラリア昆虫軍団との対決で、何万もの援軍を得たようなものである。

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