トリバネアゲハと露天風呂ざんまい
 昆虫記者のなるほど探訪

日本持ち込み禁止のアカエリトリバネアゲハ

 マレーシア・クアラルンプール近郊の避暑地フレーザーズヒルの魅惑のナイトライフ(もちろん虫探し)の充実ぶりは、前回紹介した。だが、昆虫記者の「熱虫症」発症の地フレーザーズヒルには、ヒルと名が付くぐらいだから、昼もある。

 夜と未明のカブト、クワガタ探しで疲れ切った昼間。ベッドメークが済んだ後は、夕食まで部屋でぐったりしていることが多くなる。しかし、ここに来たからには、どうしても撮らなければならない蝶(チョウ)がいる。(時事通信社・天野和利)

 それは、マレーシアの国蝶であり、成田空港の「海外からの持ち込み禁止物」コーナーで圧倒的な存在感を示すあの鳥のような大蝶、アカエリトリバネアゲハ(ラジャブルック・バードウイング)だ。こいつを見つけるまでは、昆虫記者に休息はない。のんびり昼寝などしてはいられないのだ。

 まずは、フレーザーでナンバーワンの蝶の名所、ジュリアウ滝に向かう。街の中心部から4キロほど。車がないと厳しい。

 しかし、フレーザーでタクシーを呼ぶのは一苦労だ。前日に予約しておかないとダメ。恐らく、フレーザーを拠点とするタクシー運転手は数人。いや、もしかしたらたった一人なのではないかと、昆虫記者は疑っている。そのたった一人がサミーだ。前日の予約でやって来たドライバーがそのサミー。何と、2003年に昆虫記者が家族で参加したフレーザーでの「昆虫教室」でも、運転手を務めていた人物なのだった。奇跡の再会でも何でもない。フレーザーでタクシーを探せば、ほぼ確実に彼に出会うのである。

 滝へ向かう途中の河原にも蝶が多いが、ラジャブルックはいない。滝つぼまで来て、やっと姿を見掛けたが、観光客が多いせいだろうか、止まってはくれない。結局1時間ほど粘って、確認できたのはたったの2匹である。高速で飛ぶラジャブルックを必死でカメラで追い掛けて、「確かにここにもいました」的な証拠写真を数枚撮っただけで終わった。サミー氏に尋ねると、「以前はここにもたくさんいた。でも最近はほとんどいない」という。先にそれを言ってほしかった。

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