古都鎌倉で虫詣で
 昆虫記者のなるほど探訪

お一人様のボッチ虫旅がお勧め

 昆虫記者が勝手に「横浜・鎌倉昆虫バイパス道路」と名付けた延々10キロにも及ぶ緑道の鎌倉市側は、正式には、鎌倉天園ハイキングコースと言う。切通しがいくつもあり、ロープの助けを借りて上り下りする難所もある。ここは鎌倉の歴史をしのばせる古道であり、「やぐら」と呼ばれる中世の墓があちこちに点在する。にぎやかなピクニック向きの横浜側とは対照的に、ここでは、しんみりとした、お一人様虫撮り、ボッチ虫旅がお勧めだ。(時事通信社・天野和利)

 まずは北鎌倉駅から、明月院の裏手のハイキングコース入り口を目指す。途中のコナラの葉には、オオミドリシジミの幼虫。しおれた若葉に擬態しているのかと思わせる不思議な容姿だ。しかし、こんな珍妙な虫を見つけても騒いではならない。ここ鎌倉では、虫を見つけるたびに1句作るような心の余裕と落ち着きがほしい。鎌倉各地の名所には、俳句ポストが設置されているので、思いついた虫の句を備え付けの用紙に書き込んで、その場で投句できるのである。

 だが、名句を思いつく間もなく、次の虫が視界に飛び込んでくる。明月院の門前では、派手なピンクの衣装のマエベニメイガが「私を捕まえて」と色仕掛けで誘ってくる。

 ピンクのチョウというのは意外に少ないのだが、蛾(ガ)には、ピンク系のやつが結構多い。夜に灯火に集まる蛾に、ピンク色は良く似合う。そして、昆虫記者は、こういう色っぽい虫にはめっぽう弱い。危うく手を伸ばして捕獲しそうになるが、神仏の厳しい目が光っている。仏の世界では、殺生はご法度である。

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