かつてアウトドア派男子の必携の書だった昆虫図鑑。その写真はいったい誰が撮っているのか。それはプロの昆虫写真家だ。それでは、どうすれば昆虫写真家になれるのか。それはプロ本人に聞いてみるのが一番。昆虫記者の役得の一つは、こういう人とも知り合いになれることである。
昆虫記者が憧れる写真家の1人、森上信夫(もりうえのぶお)氏。その代表作となった「虫のくる宿」は、度肝を抜かれる本だ。
この本は、あえて分類すれば、絵本の範疇に入るかもしれない。実は虫をテーマにした子供向けの科学書、写真絵本は、ほとんど写真集と言ってもいいほど、大きな写真をふんだんに使えるのだ。
子供向けなら、人気のカブト、クワガタとか、きれいな蝶とか、すごく珍しい虫とかが登場すると思うかもしれない。しかし、そんなものはここにはない。
ある夜、泊まった森の中の宿。明かりのついた窓に集まる虫を見続ける主人公。次々とやってくる虫は普通の蛾やアブやカメムシ。しかも、窓の外側に止まった虫を、部屋の中から見ているという設定なので、ほとんどが腹側からの写真なのだ。
腹側から見た虫は異様だが、不思議なリアリティーがある。なぜなら、これは、実在するある宿の、ある夏の日の夜の現実なのだから。
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