「私の税率は17%で私の秘書より低いのは不公平」-。米国で長者番付の上位に位置する著名投資家ウォーレン・バフェット氏が税制の矛盾を指摘するとともに富裕層への増税を訴えている。富裕層は税率が15%の株式配当や株の値上がりで利益を得ているため給与所得者より低くなる。これは不公正だというわけで、オバマ大統領が目指す富裕層増税への支援材料ともなっている。大富豪が自らへの増税を訴えるのは異例と言えるが、注目を集めた理由は、それだけではない。(時事ドットコム編集長・舟橋良治)
2011年秋に米ニューヨークで始まった、いわゆる「ウォール街の占拠」で格差に対する社会の関心が高まり、格差是正が必要だとの認識が米国だけでなく世界各地で広がった。そうした素地があったからこそ、人々の共感を呼んだ。
大きなうねりとなった「ウオール街の占拠」は、カナダの非営利雑誌「アドバスターズ」の発行者カレ・ラースン氏が11年7月13日に行ったインターネット上の小さな呼びかけをきっかけに始まった。ラースン氏は米国型経済モデルの行き詰まりや格差拡大を憂慮。現状を動かす策として、「ウォール街を占拠せよ。9月17日、テント持参」と自社サイトに載せた。ウォール街を選んだのは、2008年のリーマン・ショックを米政府の資金投入で乗り切った金融機関がひしめいているのが理由。格差や失業などに不満を持つ人々が集まるのにふさわしい場所だと考えたという。
最初の参加者は約1000人。ラースン氏も大きな運動に発展するとの確信があったわけではなく、現場に足も運んでいない。しかし、「我々は99%だ」というキャッチフレーズは、1%の大金持ちが富を独占している経済実態を端的に示し、参加者が日増しに増大していった。
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