プロ野球日本ハムの清宮幸太郎内野手(19)が1年目の2018年シーズンを終えた。東京・早稲田実高からドラフト1位で入団。1、2軍を行き来し、1軍では53試合に出場して32安打、7本塁打、18打点で打率2割という成績だった。
鳴り物入りの新人スラッガーとしてはやや物足りない数字かもしれないが、日本ハムならではの育成環境の下、着実に前進している。明るく、天真らんまんで律儀。天才肌に見えても陰の努力を欠かさない。担当記者が見続けてきた大物ルーキーとは―。【時事通信社札幌支社日本ハム担当・藤井隆宏】
◇思わぬ気遣い「いい子だね」
18年10月16日。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが終わった翌朝、福岡空港のロビーで担当記者数人が吉井理人投手コーチ(当時)が現れるのを待っていた。あるスポーツ紙に同コーチが退団するとの記事があり、本人に事実関係を確認するのが目的だ。
荷物検査場を通った吉井コーチの姿が遠くに見え始め、程なく10メートルほどの距離に近づいた。すると突然、視界に大柄な人物がヌッと入ってきた。土産物店から出てきた清宮だ。記者たちの前で立ち止まると、少々遠慮がちに「あの~、きょうは何か話さなくてもいいんですか」。
目の前で必要な取材が差し迫っていたため、「今は大丈夫。どうもありがとう」と丁重にお断り。思わぬ気遣いに記者たちは顔を見合わせ、そっと去って行く大きな背中を見詰めながら「いい子だねえ」と口をそろえた。
◇ほほ笑ましいエピソード
2月に米アリゾナ州スコッツデールで行われた春季キャンプ。期待された清宮の船出は、華々しさからはほど遠かった。1月の自主トレーニング中に右手親指を痛めた影響で打撃練習ができない。金子誠コーチによる守備の特訓がもっぱら。ストレスがたまりそうな毎日でも、気持ちの落ち込みを周囲に見せない明るさと物怖じしない性格で、自然に発散させていたようだ。
新着
会員限定