津波に流され、石巻漁港近くの道路に横たわる巨大タンク。水産加工団地から約300メートルも運ばれた。中央の分離帯に収まり、車の通行に支障は出ていない。「鯨大和煮」のラベルデザインが描かれたこの「巨大缶詰」は、水産加工会社「木の屋石巻水産」(宮城県石巻市)の工場脇に置かれていた。同社のシンボルとして、観光スポットにもなっていた。
今後の処置は決まっていない。「モニュメントとして保存を」の声があるが、安全面などがネックで実現に至らない。同社の木村長努社長(59)は「どういう意義があるのか、みんなで判断して(ほしい)」と話す。
震災発生から1年。漁港周辺でも、がれきの処理が進む。うず高く積まれたがれきの山のてっぺんで重機がせわしなく動く。復興に向け、トラックが頻繁に行き交う。
同社の社屋、工場は全壊した。無残な姿の建物に、ほぼ無傷に見える「木の屋」の看板が掲げられていた。今は、内陸へ2キロほど入ったビルに仮事務所を構える。缶詰製造などは岩手の業者に委託している。
来年2月の操業再開を目指し、現有地に加え隣町にも工場を建設する計画。再建に向け本格的に動き出す。
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