自動運転、スマホ操作も可能な「レベル3」に どうなる開発競争 ホンダ先行、トヨタ・日産は【けいざい百景】

2021年04月28日12時00分

商品として成立せず、レベル議論否定も

 真っ先に「レベル3」を投入したホンダに対し、ライバル社の動きは鈍い。「レベル2」で2016年にいち早く搭載車を発売した日産自動車は、「レベル3」からは距離を置いている。

 日産の浅見孝雄専務執行役員(研究・先行技術開発)によると、「レベル3」はドライバーに責任がなくなるため、搭載するセンサーの数や値段が「レベル2」から格段に跳ね上がるという。その一方で、適用範囲が「高速道路の渋滞時」に限られることから、「顧客メリットを考えると、商品としては成立しづらい」(浅見氏)のが実情。実際、ホンダの「レベル3」搭載車「レジェンド」は1000万円を超え、通常より300万円以上高い。「一般消費者の手に届くものではない」(自動車大手関係者)との声も聞かれる。

 日産の浅見氏は、現状の自動運転技術について「車線変更がまだアシストレベル。高速道路でも全部はカバーできていない」との認識だ。同社としては当面、「レベル2」の範囲内で精度向上や適用範囲拡大を図り、価格低減を進める考えだ。

 最大手のトヨタ自動車は4月上旬、高速道路での手放し運転や自動で車線変更などができる「レベル2」機能搭載の新型車を発売した。高級車ブランド「レクサス」の最高級セダン「LS」や燃料電池車(FCV)「ミライ」に採用した。

 早くから「レベル2」を手掛ける日産や、既に「レベル3」を投入したホンダに比べ、出遅れが指摘されるトヨタは「レベルだけの話は大事でない」(前田昌彦執行役員)と反論。自動運転技術の開発で「安心して自分の運転を任せられるかどうか」(同氏)を重視する。技術の優劣を「レベル」の区分で議論することに否定的で、「レベル3」に参入する計画は今のところないという。

事故リスクも

 「レベル3」をめぐる各社のアプローチの違いが、今後の開発競争にどう影響するか―。ホンダは「(レベル3は)いずれはどこのメーカーも必要になってくる技術」(幹部)として、先行投入したアドバンテージを最大限生かす考えだ。しかし、「レベル3」を搭載した「レジェンド」の販売台数計画は国内でわずか100台にとどまる。増産や増販の計画もなく「社会にどう受け止められるか慎重に判断したい」と控えめな姿勢をのぞかせる。

 一方、ホンダ以外のメーカーの「レベル3」に対する考え方をめぐり、業界関係者の間では「技術的には可能だが、万が一にも事故が起きたときのリスクの大きさを考えているのが本音」(アナリスト)との見立てがある。「レベル3」機能の作動中に事故が起きれば、メーカーの責任になることが想定され、ブランドイメージに傷が付くことを恐れているとみられる。

 国内メーカーの動きは各社各様だ。それでも世界に目を転じれば、米グーグル系をはじめとしたIT大手が、一歩先を行く「レベル4」に相当する無人タクシーなどの実証実験を各国で展開。自動車大手との提携も進んでおり、自動運転分野の開発が今後加速していくことは明白だ。ホンダの積極姿勢が「吉」と出るか「凶」と出るか。この成り行き次第で、将来の勢力図や、自動運転の普及をめぐる各社の競争ポイントの方向性が見えてくるかもしれない。

(2021年4月28日掲載)

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