2021年04月28日12時00分
運転操作をシステムに任せられる「自動運転車」の開発競争が自動車メーカー間で活発化している。「100年に1度」とも言われる変革期を迎えた自動車業界で、自動運転は電気自動車(EV)などの電動化と並び、次世代技術の本命に位置付けられる。自動車各社にとって避けては通れないハードルだが、現段階でメーカーの戦略や思惑はそれぞれ異なる。一部でスマートフォンを操作しながら運転できるなど「本格的自動運転車」とされる自動運転「レベル3」技術の搭載車に関しては、ホンダが先行する一方、トヨタ自動車と日産自動車は静観の構え。自動運転をめぐる競争の行方は不明確だ。(時事通信経済部 平野壮生)
ホンダはこのほど、世界で初めて「レベル3」の技術を採り入れた高級車「レジェンド」を発売した。「レベル3」の最大の特徴は、運転責任の主体が「ドライバー」から「システム」に移る点にある。
自動運転のレベルは、システムへの依存度合いに応じて5段階に分けられる(別図参照)。「レベル2」までは、運転責任がドライバーにあるため、「運転支援」の位置付け。手放し運転や車線変更などが自動で行われても、その間の安全に関する周囲への監視義務は免れない。自動走行中に事故が起きれば、通常の走行時と同様に責任はドライバーに課される。
これに対し「レベル3」になると、監視義務を一部解かれ、自動走行中にカーナビやスマホを操作することが可能だ。ただ、必要に応じていつでも運転態勢に戻れるようにしていなければならないため、居眠りや飲酒は禁止されている。さらに、現在の法令では「レベル3」が適用できるのは、「高速道路の同一車線で低速走行時」に限定。ホンダの新型車「レジェンド」でも、「レベル3」機能の出番は「高速道路での渋滞時」のみだ。
問題は、そのような極めて限られた適用範囲の「レベル3」をどう評価するか、だ。ホンダは当然ながら「事故ゼロ社会に向けた非常に大きな一歩」(寺谷公良日本本部長)と、世界で初めて投入した意義を強調。高速道路の渋滞時にドライバーが抱えるストレスを大きく軽減できるメリットを最大限にアピールし、「レベル3」分野で業界をリードしていく構えだ。
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