猛暑が続く近頃の日本で、毎年深刻な状況が続いている熱中症。2013年も5月27日の集計開始から8月4日までに熱中症で救急搬送された人の数は2万9729人(速報値)に達し、死者は34人、3週間以上の入院が必要な重症者も772人に上った。熱中症を防ぐにはどうしたらいいのか、脱水症の一歩手前の「かくれ脱水」に着目して防止策を訴える「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長の谷口英喜・神奈川県立保健福祉大教授に聞いた。
―「かくれ脱水」とは何ですか。
まず、「かくれ脱水」は正式な医学用語ではありません。いわゆる脱水の症状、つまり血圧が下がったり、体が動かなくなったり、尿や汗が出なくなったりという状態が脱水症です。しかし、そこまで至っていない、自分ではなかなか気付かないけれども、体の中の水分が失われている状態を「かくれ脱水」と定義しました。
「熱中症と脱水症」
高温多湿の環境に長くいて体温が上昇すると、人間の体は汗をかくことで体温を下げるという仕組みを持っている。しかし、その状態が続いて体液が失われていくと、発汗にストップがかかって体温が上がり、めまいや立ちくらみ(1度)から頭痛、吐き気(2度)、ひどい場合にはけいれんや意識障害(3度)などの熱中症を引き起こす。
人間の体にとって不可欠な体液が不足した状態が脱水症で、熱中症の背景にはこの脱水症が潜んでいる。このため、熱中症対策の基本の一つは脱水症を予防すること。特に深刻な脱水症状の一歩手前で、適切な対処によって悪化を食い止めることができる「かくれ脱水」の時点で進行を止めるのが重要になってくる。
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