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東南アジアの息吹~関経連の経済交流に同行~

「地産地消」で成長

 関西経済連合会(会長・森詳介関西電力会長)が2013年2月、経済交流のため、インドネシア、シンガポール、タイの東南アジア3カ国に訪問団を派遣し、同行取材する機会を得た。公式の経済交流の傍らで垣間見た、インドネシアにおける日系メーカーの現地化努力や街の息吹。洪水から立ち直りつつあるタイの現地工場。さらには、シンガポール首相が語る日本への“苦言”などを紹介する。(時事通信社記者・四谷浩章)

 「色が素敵で皮膚の色にも合っている」-。化粧品メーカー、マンダムのインドネシア現地法人本社(ジャカルタ市)で受付を務めるヌルルさん(22)は、お気に入りの同社製口紅(1本約200~約300円)を片手に、笑顔でこう語る。日本でマンダムと言えば男性化粧品の印象が強いが、現地法人の売上高に占める男女別の商品構成比は半々。インドネシアでは女性用の認知度も高い。

 現地法人は1969年設立。インドネシアで生産、販売する「地産地消」戦略で事業を拡大してきた。売上高の7割はインドネシア国内の販売で計上、メーカー別の国内化粧品売上高でトップ5に入る。

 成功要因の一つは、広範囲な販売網の構築。インドネシアは国土面積が日本の約5倍で東西の距離は5110キロと北米を超える。ここに約90カ所の販売代理店を配置し、小売店を通じきめ細かく販売してきた。

 もう一つが、所得格差の大きい現地事情に合わせた商品開発だ。ある男性用整髪料は同じ中身で、低所得者用の6グラム(約3.5円)から300グラム(約170円)まで7種類ものサイズをそろえている。

 現地法人の労働者の人件費は福利厚生費も含め1人当たり年約20万円。低賃金を背景に充填や梱包など作業の多くを人手に頼ってきた。

 だが、ここに来て人件費は急騰している。現地法人の日比武志社長は、これを経営面での「逆風」と認める。その上で「インドネシアは収入が増えると消費に回すお国柄。化粧品の売り上げが伸び、逆風もやがて追い風に変わる」と冷静に風向きを読んでいる。

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