イスラエルに対して入植反対を直言するなど、(安倍首相は)バランスの取れた外交を行っていると信じていると思うが、中東ではイスラエルと国交を持ってない国がほとんどだということを正確に実感していないと思う。このため、中東、アラブ・イスラム世界では偏った外交とみられる。
記者会見で、難民、人道支援を強調したが、今、300万人と言われるシリアからの難民の半数以上、160万人はトルコにいる。もし、難民支援ということならば、トルコを最優先すべきで、トルコを(歴訪先から)外して難民支援と言っても、これは通用しないと思う。
訪問国がエジプト、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン。すべてイスラエルに関係する国だけという選択をした時点で、アメリカとイスラエルの手先と認識される。人道・難民支援のために行っているとは理解されない。
(首相が)中東の安定に寄与すると言うのは理解できるが、中東の安定が失われているのはイスラム国が出現する前から。その中で、わざわざイスラム国だけを取り上げて、イスラム国と戦うためにと言いながら、人道支援だけを行うと言っても通用しない論理だと思う。
日本人の人質2人がいることが分かっている中で「イスラム国と戦う」ことを発言するのは不用意と言わざるを得ない。
テロリストの要求を飲む必要はないが、交渉のパイプを持たないことは全く別。無条件の解放を要求するとしても、実際に人質2人を解放するため安全が確保できるか、その間、空爆を止めることができるか、誰が人質を受け取りに行くのか、どこへ受け取りに行くのか。正しい相手と正しく話をするパイプがなくては、話にならない。
これまでの似たケースでも、仲介者の偽者が現れてアメリカが騙されるというケースがたくさん出ている。今回のケースでもその恐れがある。
イスラム国の呼び掛けは安倍政権だけでなく、日本国民に向けられている。それに対して、われわれは応えるべき。われわれにどういう対応が取れるかが、問われている。
新着
会員限定