日本人2人を人質にとって身代金2億ドルを要求したイスラム過激派組織「イスラム国」との人脈を持つ同志社大学の中田考元教授(イスラム法学・神学)は2015年1月22日、外国特派員協会で記者会見し、人質救出に向けた方策を提案した。中田氏は、身代金の代わりにトルコ政府と国際赤十字・赤新月社連盟を通じてイスラム国支配地域内の難民を対象に人道支援を行うのが唯一の解決策だと強調。また、中東訪問中に安倍晋三首相が、イスラム国との戦いを前提に表明した2億ドルの難民人道支援は「バランスを欠いている」と批判した。(時事通信社・舟橋良治)
中田元教授は、イスラム国に戦闘目的で加わるため渡航準備をした北海道大生を手助けしたとして私戦予備・陰謀容疑での捜査対象となっている。この日の会見は、北大生をめぐる発言は避け、人質事件に絞って見解を示した。
〔中田考・元教授とイスラム国との関わり〕
イスラム法学者、イスラム教徒として、十数回シリアを訪問。イスラム国司令官、ウマル・グラバー氏から湯川遥菜氏の裁判を行いたいため、イスラム法、日本語、アラビア語ができる人を紹介してほしい、またジャーナリストを連れてきてほしいという要請を中田元教授が受ける。
この時、お金の話は一切なく、基本的に司法を通じて救出できるとの見通しをウマル氏から言われ、シリアに入国した。この時、(日本の)外務省から自己責任で行くことを確認された。また、アメリカの空爆が始まり、人質を預かっている人と連絡が取れなくなり、救出できなくなった。その後、イスラム国に行きたいという学生を助けたとして被疑者になり、コンタクトを控えていた。
〔会見冒頭発言〕
私は被疑者の立場でもあり、マスコミへの露出を避け、イスラム国とのコンタクトを避けてきたが、今回は人命に関わることなので、皆様の前で話すことにした。
安倍首相の中東歴訪に合わせて、今回の(人道支援の)発表があった。首相は、地域の安定、和平につながると信じていたと思うが、残念ながらバランスが悪い。
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