2018年の国内男子プロゴルフツアーは、今平周吾(26)が1億3911万円を獲得して初の賞金王に輝いた。勝利数こそ一つにとどまったが、抜群の安定感で年間を通じて上位に定着。日本人では石川遼、松山英樹に次ぐ史上3番目の若さで王座に就いた。19年は海外の試合にも積極的に参戦する意向で、国内では「3勝以上」と2年連続賞金王を目指す。プレー中もラウンド後も、喜怒哀楽をあまり表に出さない。物静かでクールそのものだが、高い技術は誰もが認める。発する言葉は少なくても、口ぶりには自信と確信がにじみ出るようになってきた。【時事通信社ゴルフ担当・前田祐貴】
◇高校中退で米国留学
埼玉県出身。埼玉栄高1年だった08年の日本ジュニア選手権では、最終日に1学年上の松山と同じ最終組で回って優勝した。翌09年に高校を中退し、数多くのアスリートを輩出する米フロリダ州のIMGアカデミーへ留学。帰国後の11年にプロ転向した。
14年には下部ツアー賞金王となり、翌15年には初シードを獲得。16年は優勝こそなかったもののトップ10に8度入り、賞金ランキングも10位に入った。17年5月の関西オープンでツアー初優勝。この年の獲得賞金は初めて1億円を超えて(1億148万円)ランク6位に。順調に成績を伸ばしてきた。
◇正確無比のショット
大型選手が増えている男子ゴルフ界で、身長165センチは小柄な部類に入る。過去の賞金王では、ベテランの藤田寛之を抜いて「史上最小」。そんなハンディを補って余りあるのが、安定したショット力だ。アイアンやウエッジのクラブは短めに握り、コンパクトなスイングから正確無比のショットを生み出している。
18年の平均ストロークは全選手でただ一人の60台となる69.92で、平均パット(1.7333)も1位をマーク。正確なショットでピンそばにつけられるからこその数字だと、17年から今平を支える柏木一了キャディーは分析する。ツアー通算20勝の谷口徹をサポートした経験もある柏木氏は「今まで担当した選手の中でもずばぬけている。こんなに(球をフェースの)芯に当てる選手はいない」と舌を巻き、賞金王についても「通過点」と捉えている。
「ゴルフを始めた時から身長が小さくて、飛距離もハンディだと思っていた。賞金王になれて、ゴルフに体格は関係ないと感じられた」と今平。トップ選手の称号を手にし、自信を深めている。
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