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失われた音を取り戻す~人工内耳25年

重度難聴者に光明

 人工内耳で音を取り戻し、生きる喜びも取り戻しました―。ある人工内耳装着者の言葉だ。人工内耳の誕生により、補聴器でも対応が難しい重度難聴でも音の回復が可能になった。

 「最も成功した人工臓器」とも呼ばれる人工内耳の手術が日本で初実施されてから、25周年を迎えた。高齢化社会では、誰しも難聴と無縁でいられない。芸能人らの突発性難聴が話題に上ることも多く、難聴への関心は着実に高まっている。四半世紀の節目に合わせ、人工内耳の歴史を振り返り、現状や展望を探った。

(時事通信社記者 新井佳文)

 2011年2月26日、国際文化会館(港区)で「人工内耳25周年記念式典」が華々しく催された。ガラス越しに、三菱財閥の第4代総帥、岩崎小彌太氏が作庭させた名庭園を望める。

 主催者代表として登壇した伊藤壽一教授(京都大学大学院医学研究所 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)は「人工内耳はいろいろな人工臓器の中で、最も優れ、最も効果を上げているもの。高度難聴者にとっては聴こえを取り戻すのは夢だった。人工内耳によって、それが実現した」と挨拶した。

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