レオガンの避難民キャンプでかき氷をつくる人(日本赤十字社提供)【時事通信社】
20万人以上が死亡したカリブ海の島国ハイチの大地震から、7月12日で半年。瓦礫(がれき)と化した街はどこまで復旧し、被災した人々の生活はどの程度改善したのか。そして今、どんな支援が求められているのか。4月から現地の日本赤十字社医療チームのリーダーを務める大岩豊さん(63)に、メールを通じてお話をうかがった。
―首都ポルトープランスや、震源地に近いレオガンの現在の様子はどうなっているのでしょうか。住民の生活は?
一般的には、もうすっかり平常に戻っている様子です。マーケットは通常通りだし、商店、銀行の業務、物の売買、人の動き(バス、オートバイ、トラックといった交通機関)、学校、病院・クリニックなどは再開しており、日常に戻っていると思います。
しかし、倒壊したビル、家々の復興は進んでいません。レオガンではかなり瓦礫の撤去が進み、以前は道路をブロックした状態だったのが、かなりきれいになりました。他方、ポルトープランスは、倒壊、半倒壊したビルや家々の瓦礫撤去に関して遅れている感じがします。
―仮設テントなどでの生活を余儀なくされている被災住民は、現状でどのくらいの数に上っているのでしょうか。
日赤が直接かかわっているのは、レオガンの16キャンプに住む2619 家族、約14000人です。ハイチ全体では、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の統計によると、4月中旬段階で、60の人道援助団体が配った仮設テント機材は124万人分、赤十字はそのうち、80000家族、約400000人を対象としてきましたが、現在はそれを超えています。飲料水供給は震災以来、314000人を対象に、120のキャンプで実施されてきました。
(注)地震の被災者数は7月1日のハイチ政府発表で150万人。
―日赤は1月にポルトープランス、2月にレオガンに仮設診療所を開設し、これまで74人の医師や看護師を派遣してきたということですが、具体的な活動内容は。
日赤の緊急対応ユニット(Emergency Response Unit = ERUと呼んでおり、基礎保健医療サービスを行う)は、ポルトープランスではオートメカクリニックで、レオガンではレオガンクリニックで実施してきました。巡回診療はポルトープランスでは4カ所で行い、レオガンでも16キャンプの人達を対象に実施しています。
これまで、延べ22500人以上の患者さんを診療してきました。赤十字の緊急医療救援は保健ニーズの変化に伴い、現在終了段階を迎えています。日赤もオートメカクリニックでの診療活動を6月15日に終え、7月15日にはレオガンクリニックでも終了します。今後は、キャンプとコミュニティーを基礎に、飲料水供給、トイレの設置と衛生予防活動、母子保健予防活動などを中心とした新しい事業に転換していくことになります。
新着
会員限定