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素材産業の秘めた実力~廃プラからコークス

100%リサイクル

 家庭から毎日出るごみや廃棄物を産業資源として再生、活用する技術の活用が定着しつつある。プラスチック製の包装容器を製鉄原料にリサイクルしたり、古い携帯電話から金や希少金属を取り出したりといった具合。日本は資源の大半を輸入に頼る一方で、廃棄物や副産物を資源に変える最先端の技術を誇る。その中でも素材産業は膨大な量の処理が可能なだけに、環境問題の広がりとともに、重要性を増していくのは間違いない。(時事通信社・舟橋良治)

 素材産業の代表、製鉄業トップの新日本製鉄は、ポリ袋やラップ、トレイ、カップなど様々なプラスチック製の包装容器を事前処理した上で石炭と一緒にコークス炉に入れて再生する技術を確立。投入したプラスチックの20%を製鉄原料のコークスに転換しているほか、40%は新たなプラスチック原料として使える炭化水素油、残る40%はコークス炉ガスに熱分解しており、こうした技術はケミカルリサイクルと呼ばれている。

 プラスチックのリサイクルは、コンテナやベンチ、公園の遊具などに成形・加工するマテリアルリサイクルが知られている。マテリアルリサイクルは、回収された廃プラスチックの50%程度しか利用できないが、新日鉄が開発したケミカルリサイクルは、ほぼ100%再利用できる画期的な技術だ。

 これを可能にしたのは、製鉄には不可欠なコークス炉。あまり聞き慣れないかも知れないが、コークス炉は、簡単に言うと、石炭を1100~1200度の高温、無酸素状態で蒸し焼きにして、製鉄に欠かせない純粋な炭素であるコークスと、コークス炉ガスやタールなどに熱分解する設備だ。

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