各国歴代最強イレブン

スコットランド

 英国4協会の一角で、イングランドに対抗する一番手として名門の立場にあった。1967年の対戦では前年世界王者となったイングランドを3-2で破り、ファンを熱狂させたものだ。しかし、最近はすっかり元気がない。W杯でも、2002年から5大会連続で予選敗退。今や日本が対戦しても互角以上の戦いが見込める相手と言ってよかろう。

 多くのスター選手が誕生し、74年から90年はW杯に5大会連続で出場。完全に「常連さん」だった。60-80年代はイングランド・リーグの強豪クラブでエースとなる選手も多く、74年、78年のW杯では、出場を逃したイングランドに代わって英国の期待を背負う存在だった。

 60-70年代、イングランド・リーグで毎年のように優勝を争ったリーズは、スコットランド出身選手が重要な役割を担っていた。MFブレムナー、エディ・グレイ、FWロリマー、ジョーダン、GKハービーらがスコットランド代表。70、80年代に3度欧州を制覇したリバプールでは、FWダルグリッシュ、MFスーネスの両主力がスコットランド出身だった。

 彼らが出場した74年や78年のW杯では、スコットランドが上位に食い込んでも少しも不思議ではなかった。だが、このチームはここ一番で詰めが甘い。ブレムナーが中盤でよく動いてパスを供給し、強シューターとして鳴らしたロリマーが右から、空中戦に強さを発揮したジョーダンが中央からゴールを狙った74年大会は、得失点差に泣いて1次リーグで敗退した。

 ブラジル、ユーゴスラビアを合わせた3チームがそれぞれの対戦ですべて引き分け。結局、ザイール戦の得失点差で明暗が分かれ、最初にザイールと当たって2得点で満足してしまったスコットランドが、9-0で粉砕したユーゴ、3-0で勝ったブラジルを下回る結果となってしまった。

 この時以上にファンを失望させたのが78年大会だった。好選手がそろい、一部では優勝候補の一角に挙げられるほど前評判が高かった。しかし、自信過剰で臨んでしまったためか、初戦でペルーのクビジャスの個人技にやられ、まさかの1-3黒星。これですっかり歯車が狂い、2戦目はイランとまさかの1-1ドロー。右ウイングのウィリー・ジョンストンはドーピングが発覚して大会から追放と、チームはドタバタを繰り返す。

 それでも、3戦目はこの大会準優勝のオランダに3-2で競り勝ったのだから、力があったのは間違いない。この試合でテクニシャンのMFゲミルは右サイドから切れ込んで相手守備陣を1人、2人とかわし、記憶に残る名ゴールを決めた。リバプールのダルグリッシュとスーネス、前線ではジョーダンも健在で、MF、DF陣にもイングランドの強豪クラブの主力選手が何人もいた。1次リーグを突破していれば、大会後半で面白い存在になっていたに違いない。

 ただ、そうならないのが、このチームの悲しき伝統でもある。W杯には8度出場して1次リーグ突破の経験はゼロ。わずか4勝。いい勝負はできても、なかなか白星がつかめないのである。そうこうしているうちに、W杯出場への道すら厳しいものになってしまった。かつてスコットランドに期待していたファンは、今かなり寂しい思いをしている。

 思い出される名選手も、70、80年代までのプレーヤーがほとんどだ。最大のスターと言えるのが、64年の欧州最優秀選手となったFWデニス・ロー。イタリアのトリノでもプレーした後に加わったマンチェスター・ユナイテッドで大活躍。173センチと大きくないにもかかわらずヘッドも強く、アクロバチックなシュートなども得意とした。イングランド代表の柱ボビー・チャールトン、北アイルランド代表のエース、ジョージ・ベストとローがかみ合ったこの時期のユナイテッドは、いくらお金を払ってでも見たいトリオを抱えたチームだった。ローは74年W杯に出場。現役の晩年で1試合の途中出場にとどまったとはいえ、チームにいるだけで、華やかな選手だった。

 67年に欧州王者となったセルティックでは、右ウイングのジミー・ジョンストンが欧州最優秀選手に輝いた。160センチ程度の小柄ながら、スピードとテクニックを生かしたドリブル突破は素晴らしかった。前述のダルグリッシュはスコットランド最多の102試合に出場し、ローと最多に並ぶ30得点。自らゴールを狙うだけでなく、周囲を生かすのもうまかった。

 20-30年代にアーセナルで活躍したMFジェームズはパスの名手。同世代のFWヒューイ・ギャラハーは代表24ゴールを挙げた。60年代には左利きのバクスターが中盤の中心。リーズの主将だった前述のブレムナーは闘志あふれる守備に加え、広い視野を生かしたパスなど、テクニックも一級品。74年W杯のベストイレブンに挙げる専門家もいた。

 守備陣では50年代にレンジャーズを支えたヤング、サイドバックで活躍したカルドー、70-80年代にリバプールの最終ラインを統率したハンセン、60-70年代に積極的な攻撃参加で名をはせた右サイドバックのマグレインらが歴史に名を残している。60年代にトットナムの守備の要だったマッケイは闘志あふれる激しいプレーで知られた。

 70-80年代以降では右サイドのMFストラカン、センターバックのミラー、バッカン、マクリーシュ、ボイド、ヘンドリーらが印象に残る。GKはW杯に5大会連続で出場した頃のレイトン、ラフ、ハービーが最強イレブンの候補者だろう。ハービーは74年W杯で高い評価を受けた。

 【スコットランドの最強イレブン】
 ▽GK レイトン
 ▽DF マグレイン、マッケイ、ハンセン、カルドー
 ▽MF ブレムナー、スーネス、ジェームズ、J・ジョンストン
 ▽FW ダルグリッシュ、ロー
 〔控え〕▽GK ラフ▽DF ヤング、マクリーシュ▽MF バクスター、ストラカン▽FW H・ギャラハー、ジョーダン

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